誰にも教えてアゲナイ!
「百合子さんはこちらにどうぞっ」

「あっ、樹里ちゃん、こないだは…」

「しーっ!ですよ、こないだ会った事は内緒にしてて…」

「あ、でも…言っちゃ…」

樹里ちゃんが椅子を引いて案内してくれた。

こないだ会った事、彼に言っちゃったんだけどなぁ…、聞かないで台所に行ってしまったし。

「わぁ、姉ちゃんが百合子姉ちゃん?」

「こんにちは。はじめまして、里沙に弟の龍(りゅう)です」

「龍だよっ。5歳だよっ」

里沙ちゃん、メモの子だわ。

樹里ちゃんとはまた違った可愛さだわぁ。

弟の龍君は5歳のヤンチャ盛り。

「百合子姉ちゃん、怪獣と新幹線、どっちで遊ぶ?」

どこから出して来たのか、ドサドサッとテーブルに置かれる玩具達。

「こらっ、龍!ご飯食べるから片付けなさいって言ったでしょっ」

「だって、百合子姉ちゃんと遊びたい」

「じゃあさ龍、マリアも混ぜてあげて」

里沙ちゃんに怒られて、いじける龍君に話し掛けてきたのは彼。

「マリア、りょうちゃと遊ぶ」

「諒ちゃんはお手伝いしてくるから、このお姉ちゃんと遊んでな」

「うっ…いーやぁー。りょうちゃじゃないといやぁっ。うわーんっ」

彼が私に抱っこさせようとマリアちゃんを手から離そうとしたら、大泣き。
< 31 / 55 >

この作品をシェア

pagetop