誰にも教えてアゲナイ!
学校では、そこそこモテモテな俺。

けど、実は彼女なんて一度も居なくて…百合子が初めて。

女の子の扱いには慣れてるけど、それ以上、先は知らない。

本当の俺を知ってるのは、百合子だけ。

学校の女の子は皆優しいし、何を言ってもビンタなんてしてこない。



百合子は、嫌なモノは嫌…でビンタするし。

優しさの中にも、ちゃんと俺と向き会ってくれてる証拠、だと俺は思う。



―――絶対、落とすって決めてんだ。



「でも、お姉様ならさ、経験なくても可愛がってくれんじゃない?いいなぁ、年上彼女。俺にも誰かよろしく」

「それしか考える事ないのかよ…」

「…………」

相川、絶句。


「…で、どこで知り合ったんだよ?」

「あ、近所なんだよ。いつも見かけてて…で、アッチから声かけてきたから、まぁ美人だし、いっかなぁ〜みたいな」

「うわぁっ、羨ましいっ」

声をかけられたのは本当だよな?

俺が引越した場所を間違えて、玄関が開かなくて…百合子が声かけてきて…。



―――という設定だったり。



本当は、間違えた訳でも何でもない。



わ、ざ、と。



引越しする時に細かな荷物は事前にちょこちょこ運ばせて貰って(節約な為、手に持てる荷物は運んだ)、敷金礼金無しの代わりに改装無しで掃除をしていた時に百合子を見かけたんだ。

見た瞬間、目に焼き付いて離れなくて…

”恋に落ちた”という感覚を初めて知った。
< 42 / 55 >

この作品をシェア

pagetop