儚い天使の笑顔には影があって
「なんか騒がしいと思ったら何してんのー?」
「あっ、春陽」
「よお、莉叶。来てたんだね」
「で、えっとその子は?ってかここでラブシーンはやめてよ。面子真っ赤だよ」
「あっ、ごめん」
莉叶は莉恋を離した。
「で、莉叶。その子は?」
「あー…」
莉叶がニヤリとした。
あー…なんか企んどる顔やな。
「かわいいやろ〜。僕が世界一大切に思っちょる子や。」
なんかみんな口開けたまま固まっちょる。
なんだかカラフルな人たちのこの光景怖いわぁ…。
「「「えーー!!!」」」
この人数の「えーー!!!」の大合唱は耳に悪いなぁ。
地響きみたいになっちょる。
すると莉叶が笑いだし、ヒーヒー言っちょる。
「みんなのこげんな顔は傑作や。」
笑いが止まったらしい莉叶はケロッとして一言。
「嘘や。僕の双子の姉ばい」
「「「えーー!!!」」」
また「えーー!!!」の大合唱やけんさすがに莉恋も笑っちょた。
莉叶は振り向き、莉恋の頭を撫でながら
「莉恋、挨拶しちゃって」 と言う。
「わかった」
「はじめまして、天使莉恋です」
「莉恋!?」
階段から降りてきた人の中にいちょった眠そうに目を擦ってた人が驚いたように目を見開いた。
顔は見えんかったけど…。
「どうしたの?愁」
そう言って赤髪の人が愁を見た。
「愁?」
莉恋の脳裏に懐かしい人の姿が蘇る。
「ほんとに莉恋と?」
「莉恋だよ。久しかぶりやね、愁」
愁は莉恋を抱きしめた。
周りがザワつく。
「女嫌いの愁さんが…」
まあ、莉恋たちの耳には、入っちょらん。
「いつ日本に帰ってきたと?」
「ついこないだ」
「そっか。今日はどげんしたと?こげんとこに来て」
「莉都兄が帰ってくるけん、お迎え行こうて思うたら、莉叶が仲間も誘うって言うて連れてこられたと」
「そうか」
「あのー、おふたりさん」
「ん?」
「なんだ?」
「2人はどういう関係で?」
「あー俺イギリスに留学してたって言ったろ?で、そこで出会ったのが莉恋と莉叶だ」
「俺、莉叶に双子のお姉さんがいるなんて聞いたことなかったけど?」
「僕と愁は先に帰ってきたっちゃけど、莉恋はイギリスに残ったっちゃ母親の会社の手伝いしちょったけん」
「だからかぁ」
莉恋は何気なく自分の腕を見ちょった。
この腕時計かわいいな〜
思わずにっこり
ん?
「莉叶!もう時間ばい」
「みんな早う車乗って」
全員車に乗って、クルマが発進した。