君は私の唯一の光
「イギリスのハーフで、名字が一緒ってなったら、姉貴こそ気づくだろ。」





私よりも先に、洸夜くんがツッコんだ。





「だって、翔と乃々花ちゃん、似てないもん!」





なるほど。確かに、私とお兄ちゃんは見た目的に、違うところが多いと思う。




髪色は、お兄ちゃんは黒っぽいけど、私は金に近い茶色。目の色も、髪色と同じ感じだし。あと身長。お兄ちゃんは、180くらいだけど、私は……たしか155くらい。




完璧に、お兄ちゃんはお父さん譲り。私は、お母さん譲りの見た目になってる。





「また言われたな。」




「うん。」




『似てない』っていうのは、言われ慣れちゃってるんだよね。病院の看護師さんたちに、めちゃくちゃ言われてきたもん。




「なんか、姉が失礼して、すみません。」




「いや、失礼じゃないよ。むしろ、俺も夕菜にちゃんと話しておけば良かったって思ったし。」




「ごめんなさい………。」





陽菜ちゃんは、ずっとキョトンとしてる。大きな瞳をクリクリにして、私たちの顔を見渡してる。陽菜ちゃんに関しては、可愛いしか出てこない。





「まあ、夕菜。いろいろ戸惑ってる事も多いだろうから、俺らは外で話そう。」




「………うん。」




お兄ちゃんと夕菜さんは、そう言って出ていった。




「なんか、驚いた。」



「うん。」




まさか、お兄ちゃんたちも知り合いだなんて。世間は狭いって、本当だ。





「なあ、前に姉貴が言ってた気になってる人って、翔さんじゃね?」





「え?…………あっ!」





思い出した。夕菜さん、同じ大学のイギリスとのハーフの人が気になってるって。






「そうかも………!」






「姉貴のあの反応は、多分そうなんだよなぁ。」






うわぁ、お兄ちゃんモテるんだ。まあ、お兄ちゃんがいる時は、やたらと若い看護師さんの出入りが増えるもんね。由奈さんじゃない看護師さんが。





私と洸夜くん、2人で悶々(もんもん)としていると、お兄ちゃんと夕菜が戻ってきた。陽菜ちゃんは、いつの間にか私のベットによじ登ってきていた。





「じゃあ、俺は講義があるから、帰るよ。洸夜くんの退院の時は、また来るから。」





「あ、私も帰らないと。じゃあね、洸夜、乃々花ちゃん。陽菜、帰るよ。」





「はーい。」






こうして、突然やってきた嵐は去っていき、穏やかな時が戻った。





「びっくりだな………。」




「うん……。」





私と洸夜くんも、ただただ呆然とすることしか出来なかった。



そうして、特に何もないまま翌日は過ぎ、洸夜くんの退院の時となった。



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