君は私の唯一の光
Episode 2

君の存在

【said 乃々花】



時の流れが遅い。




洸夜くんの退院から、まだ3日。




なのに、もう2ヶ月を過ごした感覚だ。




暇だから昼寝しても、たったの1時間程で目が覚める。前までなら、普通に3時間とか爆睡だったのに。






“前までの生活”に心が追いついてないみたい。“洸夜くんがいる生活”が、私がこれまで過ごしてきた11年を、いとも簡単に打ち砕いた。





改めて、私にとっての洸夜くんの存在を実感する。こんなになってしまう自分を殴りたい。ただ、それでは解決しないことは、自分が1番わかってる。




「はぁ………。ほんと、なんでかな……?」




絶対に手が届かないような人に、この感情を抱いたのだろうか。自分でも、嫌になる。たった1か月だったのに………ね。





夕陽が、赤っぽくなって、私の病室に差し込み、影を作る。“名前の話”をした日を思い出す。お互い照れ臭くなりながらも、笑い合った日。思えば、あの時から、私の中で何かが変わったのかも。





「あーぁ、会いたい。」




呟いても、叶うわけない。意味がないとわかってても、言ってしまう。この3日、どれだけ呟いたことだろう。この叶わない気持ち。これ以上膨れ上がらないように、抑えるには、洸夜くんを忘れるしかないのに。そう思っても、無駄だった。消えるわけない。せめて、心も諦めてくれれば、何とかなると思った。



頭では、もうわかってるから。





ぼーっとしたまま、何日も過ぎる。洸夜くんがいる間、楽しくて、ほったらかしにしてた院内学校の勉強も、もう終わってる。




これから永遠に、この気持ちと付き合っていくのは、苦しいものがある。




でも、君と過ごせた日々は、私の宝物だから。
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