君は私の唯一の光
「落ち着いたか?」



「うん………ごめんなさい。」




乃々花が抱きついてから、約10分後。急に、乃々花が飛び退()いた。




顔を赤く染めて、可愛い。夕陽が差し込んで、余計に。あの日の乃々花と重なる。




「乃々花、なんかあったのか?」




「…………」





無言で首を横に振る乃々花。なんか、どの仕草も可愛く見える。




「倒れたり、してないか?」




「してない…………。」





「翔さん達が来てくれなくて、寂しかったのか?」




「お兄ちゃんは、昨日来た。」





もう俺の脳では、これ以上の予測は無理だ。諦める。





「なんかあったら、言えよ。」




「うん………。」





小声で、でもしっかりと頷いた乃々花に安心する。少しでも、頼ってもらいたいから。





「そういえば……こんなとこまで、どうしたの?」




「え?お見舞い。」





乃々花が不思議そうに聞いてくる。それに俺は、普通に返したつもりだったのだが………乃々花は目を見開いた。





「お見舞い!?」




「うん。」




「誰………の?」




「乃々花の。」



いまだに信じられない様子の乃々花。なんでそんな風になるかはわからないけど、明らかに動揺してるのはわかった。



「………あり…がと…。」


「え?う、うん…。」



めちゃくちゃ嬉しそうに、自分の両頬に両手を当てて、目をギュッと(つむ)って、口角が上がってるのが、とてつもなく可愛い。姉貴やクラスの女子が、プリクラでこういうポーズしてるけど、全くいいと思わなかったのが、嘘みたいで…………




「好きだ。」






気づいたら、呟いていた。





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