君は私の唯一の光
君の恋人 said寧々
「俺、彼女できたっ!」
朝、教室に着いて早々に聞いた大声。その一言が、教室内を騒然とさせた。
発言者である神山洸夜は、嬉しそうにニコニコしている。そんな本人に男子が群がり、質問攻めにしていた。逆に、女子は落胆。イケメンで頭が良く、スポーツもできる洸夜は、女子の人気トップだった。
他人事のように言う私も、洸夜に惚れた女子の1人なのだけど。
「相手は誰だよ!」
男子の誰かが放った言葉に、女子が凍りつく。一体、完璧な洸夜の心を誰が射止めたのか……女子のほとんどが興味津々だった。
私も、心の準備をする。頭の中に、この学園内で美人だと人気のある人や、洸夜がよく話している人など、手当たり次第に思い浮かべる。
きっと、この中にいる。そう推理をして、洸夜の発言を待った。
「誰でしょ〜。」
楽しそうに誤魔化す洸夜に、少しだけイライラしながらも、答えを待った。男子がチラチラと私を見るのが、余計に苛立たせる。
男子が私に視線を投げかける理由は、私と洸夜がお似合いだという話が広まっていたから。私にとっては嬉しかったけど、洸夜は、「俺と松原?ないない!ただの気が合うサッカー部仲間だわ。」と言うのが、お決まりだった。
それに悲しみを覚えながらも、平気な顔でスルーしていた。「当たり前。私と洸夜は、なんとも無いよ。」って、強がったり。自分でも、かわいくないなって思うほどに。
「俺の彼女は…………」
ついに来た。これを聞いたら、もう諦めなきゃ。自分に言い聞かせ、洸夜に目を向けた。
その時の洸夜は、サッカーの試合に勝った時くらいしか見せたことのない、最高の笑顔を浮かべていた。
「桑野乃々花で〜すっ!」
誰もが、シンと静まり返った。みんな、心の中で“誰?”ってなってたと思う。私も、学園内の女子を思い出せるだけ考えたけど、『クワノノノカ』っていう名前は出てこなかった。
「あっ!思い出した!入院してる部屋が一緒だった子だっ!!!!」
サッカー部員だと思われる男子が、1つの結論を出した。
入院してる部屋が一緒?あの、倒れた子?正直信じられなかったから、男子の記憶違いだろうと思った。
なのに、、、
「おっ、よく覚えてたな、お前!」
愕然とした。なに……それ…。入院って、たった1か月間だったじゃん。その間に、お互い両想いになって、昨日付き合ったって言いたいわけ?
「あの可愛い子だろ?俺、可愛い子は忘れねーから。」
「倒れちゃった子だろ?あの後、結局大丈夫だったのか?」
驚愕を通り越して、段々怒りが湧いてきた。これまで洸夜を想ってきた4年は、なんだったの?
「写真ねーの?俺、めっちゃ見たい!」
「俺も俺も!」
男子の声が、遠ざかっていく感じがした。同時に、頭の中も心の中も、黒いものに包み込まれていく。
「寧々。」
名前を呼ばれて振り向くと、洸夜に猛アタックしていた宮本花梨がいた。
「何?」
「洸夜の彼女の『クワノノノカ』って、誰?入院とか言ってるから、お見舞いに行った寧々なら知ってるんじゃないの?」
会った事もない“桑野乃々花”に敵対心を剥き出しにしているのがわかる口調。熱狂的に好きだった花梨は、『自分こそ』ってずっと思っていたらしい。
まあ、みんなから「可愛い」「スタイルいい」と囃し立てられてたら、無理もないけど。
「知ってるって言えるほどじゃないけど、見たことあるよ。」
「どんな子?」
“少なくとも、あなたとは違うタイプの子”って言ってやりたかった。花梨は、ザ・ぶりっ子。私が嫌いなタイプ。なんでも『自分が一番』って思ってる。調子に乗ってんな、って何度言いたかったか。
だが、とりあえずまともに返さないと、花梨の逆鱗に触れるので、クワノノノカを思い浮かべた。
「可愛くて、おしとやかな子。」
第一印象はそんな感じ。同時に思い出した。洸夜があの子の行動を、すごく気にしていたこと。あの慌てっぷりは、なかなか見たことがなかった。
朝、教室に着いて早々に聞いた大声。その一言が、教室内を騒然とさせた。
発言者である神山洸夜は、嬉しそうにニコニコしている。そんな本人に男子が群がり、質問攻めにしていた。逆に、女子は落胆。イケメンで頭が良く、スポーツもできる洸夜は、女子の人気トップだった。
他人事のように言う私も、洸夜に惚れた女子の1人なのだけど。
「相手は誰だよ!」
男子の誰かが放った言葉に、女子が凍りつく。一体、完璧な洸夜の心を誰が射止めたのか……女子のほとんどが興味津々だった。
私も、心の準備をする。頭の中に、この学園内で美人だと人気のある人や、洸夜がよく話している人など、手当たり次第に思い浮かべる。
きっと、この中にいる。そう推理をして、洸夜の発言を待った。
「誰でしょ〜。」
楽しそうに誤魔化す洸夜に、少しだけイライラしながらも、答えを待った。男子がチラチラと私を見るのが、余計に苛立たせる。
男子が私に視線を投げかける理由は、私と洸夜がお似合いだという話が広まっていたから。私にとっては嬉しかったけど、洸夜は、「俺と松原?ないない!ただの気が合うサッカー部仲間だわ。」と言うのが、お決まりだった。
それに悲しみを覚えながらも、平気な顔でスルーしていた。「当たり前。私と洸夜は、なんとも無いよ。」って、強がったり。自分でも、かわいくないなって思うほどに。
「俺の彼女は…………」
ついに来た。これを聞いたら、もう諦めなきゃ。自分に言い聞かせ、洸夜に目を向けた。
その時の洸夜は、サッカーの試合に勝った時くらいしか見せたことのない、最高の笑顔を浮かべていた。
「桑野乃々花で〜すっ!」
誰もが、シンと静まり返った。みんな、心の中で“誰?”ってなってたと思う。私も、学園内の女子を思い出せるだけ考えたけど、『クワノノノカ』っていう名前は出てこなかった。
「あっ!思い出した!入院してる部屋が一緒だった子だっ!!!!」
サッカー部員だと思われる男子が、1つの結論を出した。
入院してる部屋が一緒?あの、倒れた子?正直信じられなかったから、男子の記憶違いだろうと思った。
なのに、、、
「おっ、よく覚えてたな、お前!」
愕然とした。なに……それ…。入院って、たった1か月間だったじゃん。その間に、お互い両想いになって、昨日付き合ったって言いたいわけ?
「あの可愛い子だろ?俺、可愛い子は忘れねーから。」
「倒れちゃった子だろ?あの後、結局大丈夫だったのか?」
驚愕を通り越して、段々怒りが湧いてきた。これまで洸夜を想ってきた4年は、なんだったの?
「写真ねーの?俺、めっちゃ見たい!」
「俺も俺も!」
男子の声が、遠ざかっていく感じがした。同時に、頭の中も心の中も、黒いものに包み込まれていく。
「寧々。」
名前を呼ばれて振り向くと、洸夜に猛アタックしていた宮本花梨がいた。
「何?」
「洸夜の彼女の『クワノノノカ』って、誰?入院とか言ってるから、お見舞いに行った寧々なら知ってるんじゃないの?」
会った事もない“桑野乃々花”に敵対心を剥き出しにしているのがわかる口調。熱狂的に好きだった花梨は、『自分こそ』ってずっと思っていたらしい。
まあ、みんなから「可愛い」「スタイルいい」と囃し立てられてたら、無理もないけど。
「知ってるって言えるほどじゃないけど、見たことあるよ。」
「どんな子?」
“少なくとも、あなたとは違うタイプの子”って言ってやりたかった。花梨は、ザ・ぶりっ子。私が嫌いなタイプ。なんでも『自分が一番』って思ってる。調子に乗ってんな、って何度言いたかったか。
だが、とりあえずまともに返さないと、花梨の逆鱗に触れるので、クワノノノカを思い浮かべた。
「可愛くて、おしとやかな子。」
第一印象はそんな感じ。同時に思い出した。洸夜があの子の行動を、すごく気にしていたこと。あの慌てっぷりは、なかなか見たことがなかった。