君は私の唯一の光
『相手の心を動かす、10のトーク術!』
そんな胡散臭い本を手に取る。今は、本屋にいるんだが、こんなものばかりが目に入る。いい加減見切りをつけたいんだよ、こっちは。
「なんで本屋になんか入ったんだろ。」
なんで?って自分に問いかける。それだけで、すごくバカらしい気分になった。
パラパラと、胡散臭い例の本をめくると、『自分の体験に基づいて!』『意志を明確に!』『抑揚や声のトーンを意識!』などなど…………。
「面接用の本みたい。」
中学で習ったなぁ〜なんて思い出して、それと一緒に、洸夜と過ごした日々が浮かび上がる。何をしても、今の私は全て、洸夜に繋げてしまうらしい。
本屋に入ったのを後悔し、静かに立ち去った。
「ふわぁ〜、おはよう…………。」
いつもは元気すぎる「おはよっ!」が飛び出すはずの洸夜の口から、あくびと眠たそうな声が聞こえた。
「おい、どうしたんだよ。今日、すっげー眠そうだけど?いつも通り9時代に寝てねーの?」
洸夜は早寝で、普段は9時頃に寝てるって聞いた。だから、いつも元気が有り余ってるんだけど、今日はお疲れの様子。
「うん………。今日寝たの、11時。」
「はぁ!?」
一緒に話してた男子が、驚きの声を上げた。それも仕方がない。テスト期間でさえ、10時までしか起きてないのに、普通の平日にそんなに遅くまで起きてられたの………?
「洸夜、なんかあった?」
眠すぎるせいか、机に突っ伏した洸夜に聞く。さっきの男子は、もう別の友達と楽しそうに話していた。
ゆっくり起き上がる洸夜の顔は、目がトロンとしていて、いかにも眠たそう。
「昨日……乃々花がまた腹痛で倒れちゃって、付き添ってた。」
「へ?なんで、洸夜が付き添ってたの?そんな必要ないじゃん。」
昨日は、いつも通り学校が終わって、駆け足で帰って行った。だから、着いたのは16時半前のはず。
それから倒れたにしても、家族が来るだろうし、洸夜が付き添ってた必要性が全くわからない。
「ないっちゃないけど………。めっちゃ心配だったから。病室行ったら、乃々花がベットで寝かされてたんだよ。担当の看護師さんに聞いたら、季節の変わり目で腹痛があったみたいって言われて、心配いらないって主治医の先生にも話は聞いたけど、どうしても離れるのが怖かったから。」
「だから、目覚めるまで側にいた………?」
確認するように言うと、コクンとうなずく。
「乃々花が起きたのは、8時半だった。そっから少し話して、帰ったの9時。で、夕飯食って風呂入って宿題したら、11時過ぎてた。」
洸夜の生活リズムを崩した……。それは、サッカーにも影響する。授業中絶対寝ることなんてないだろう洸夜は、部活時間に疲れがドッと出るはず。そんな状況でサッカーなんてできないし、無理にプレイしても、怪我をするだろう。私がこれだけ分かるんだから、洸夜は自分のこと、もっと分かってるはず。それなのに、待ってたの………?
「でも、よかった〜。でないと俺、多分乃々花が起きるまで病室出れなかったから。もう昨日の乃々花が可愛すぎたんだよ。」
心配してるのに、惚気られた……。私、どれだけついてないんだろう。好きな人に彼女の自慢されるなんて………。
どんどん黒い感情が胸に広がっていった。
ついに染まってしまった時…………
私は君に嫌われ、永遠の邪魔者となるだろう。
そんな胡散臭い本を手に取る。今は、本屋にいるんだが、こんなものばかりが目に入る。いい加減見切りをつけたいんだよ、こっちは。
「なんで本屋になんか入ったんだろ。」
なんで?って自分に問いかける。それだけで、すごくバカらしい気分になった。
パラパラと、胡散臭い例の本をめくると、『自分の体験に基づいて!』『意志を明確に!』『抑揚や声のトーンを意識!』などなど…………。
「面接用の本みたい。」
中学で習ったなぁ〜なんて思い出して、それと一緒に、洸夜と過ごした日々が浮かび上がる。何をしても、今の私は全て、洸夜に繋げてしまうらしい。
本屋に入ったのを後悔し、静かに立ち去った。
「ふわぁ〜、おはよう…………。」
いつもは元気すぎる「おはよっ!」が飛び出すはずの洸夜の口から、あくびと眠たそうな声が聞こえた。
「おい、どうしたんだよ。今日、すっげー眠そうだけど?いつも通り9時代に寝てねーの?」
洸夜は早寝で、普段は9時頃に寝てるって聞いた。だから、いつも元気が有り余ってるんだけど、今日はお疲れの様子。
「うん………。今日寝たの、11時。」
「はぁ!?」
一緒に話してた男子が、驚きの声を上げた。それも仕方がない。テスト期間でさえ、10時までしか起きてないのに、普通の平日にそんなに遅くまで起きてられたの………?
「洸夜、なんかあった?」
眠すぎるせいか、机に突っ伏した洸夜に聞く。さっきの男子は、もう別の友達と楽しそうに話していた。
ゆっくり起き上がる洸夜の顔は、目がトロンとしていて、いかにも眠たそう。
「昨日……乃々花がまた腹痛で倒れちゃって、付き添ってた。」
「へ?なんで、洸夜が付き添ってたの?そんな必要ないじゃん。」
昨日は、いつも通り学校が終わって、駆け足で帰って行った。だから、着いたのは16時半前のはず。
それから倒れたにしても、家族が来るだろうし、洸夜が付き添ってた必要性が全くわからない。
「ないっちゃないけど………。めっちゃ心配だったから。病室行ったら、乃々花がベットで寝かされてたんだよ。担当の看護師さんに聞いたら、季節の変わり目で腹痛があったみたいって言われて、心配いらないって主治医の先生にも話は聞いたけど、どうしても離れるのが怖かったから。」
「だから、目覚めるまで側にいた………?」
確認するように言うと、コクンとうなずく。
「乃々花が起きたのは、8時半だった。そっから少し話して、帰ったの9時。で、夕飯食って風呂入って宿題したら、11時過ぎてた。」
洸夜の生活リズムを崩した……。それは、サッカーにも影響する。授業中絶対寝ることなんてないだろう洸夜は、部活時間に疲れがドッと出るはず。そんな状況でサッカーなんてできないし、無理にプレイしても、怪我をするだろう。私がこれだけ分かるんだから、洸夜は自分のこと、もっと分かってるはず。それなのに、待ってたの………?
「でも、よかった〜。でないと俺、多分乃々花が起きるまで病室出れなかったから。もう昨日の乃々花が可愛すぎたんだよ。」
心配してるのに、惚気られた……。私、どれだけついてないんだろう。好きな人に彼女の自慢されるなんて………。
どんどん黒い感情が胸に広がっていった。
ついに染まってしまった時…………
私は君に嫌われ、永遠の邪魔者となるだろう。