君は私の唯一の光
【said 寧々】


終わった………。全てが終わった…。



これを望んでいたはずなのに、後悔で胸が苦しい。こんなに弱い人間だっけ……って、自分で呆れる。



自分で“最低女”を作って、自分で洸夜が怒るような事をして、自分から嫌われにいった。



全部、この結末をわかってて、自らした事。



私が泣く権利なんてない……。なのに、涙が止まらない。




しばらく、1人、部室で泣いた。

いくら泣いても、洸夜から送られた、あの私を軽蔑した目は、記憶から消えてくれなかった。


赤くなった目元を大急ぎで冷やして、腫れを治める。こういう時、マネージャーの知恵が役に立つんだよね。



でも、そのマネージャーも最初は洸夜のためだったんだって思い出して、また泣けてくる。


こんな……弱虫で情けない自分、嫌いだよ。



家に帰って即、部屋に閉じこもった。でないと、家族に泣いたのがバレる。体調悪いって事にしよう。お風呂とかは、適当な時に入ればいいし。




スマホを開いて、お気に入りの曲を流した。失恋ソング。


こんなの思う資格ないんだろうけど、歌詞が自分とマッチしてて、ある意味“中毒”になってる。


特に、ラストのサビの前が好きなんだよね……。



私……自分を悲観しすぎかな?だって、自業自得(じごうじとく)だもんね。



最後の最後まで、この曲通りに“いい友達”でいれば良かったのに。踏み外したって感じ。



泣いても泣いても、枯れない涙。たまに、口に入ってくるのがしょっぱくて……私の恋って、この味なんだ。最悪。



まだ、相手の幸せを心から願い、祝える人になりたかった。捻くれて、捻くれて、幸せを壊す人じゃなくて……。



まあ、もう何をしたって手遅れだけど。一回したことは、消えてなんてくれない。ドラマや映画でやってたタイムスリップなんて、現代では不可能。



できることなら、洸夜と出会う前……親しくなる前に戻りたい。ただ、それが叶えば苦労なんてしないんだよ。



「ばーか………。」



1人呟いた、誰に向けてかわからない言葉は、静かに消えていった。




君に恋しなければ………



君と親しくならなければ………



君と出会わなければ………




もう、君には関わらないから、これだけ……“君のせい”にさせて?
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