君は私の唯一の光
【said 乃々花】


松原さんに病室で言われた事を包み隠さず、洸夜くんに伝えた。



きっと松原さんは、洸夜くんに自分の気持ちを伝えてないんだろうって思ったから。恋愛のことを、本人の許可なしに相手に言うなんて、非常識だってわかってる。


でも……松原さんに後悔してほしくなかった。偽善者(ぎぜんしゃ)だって、言ってもらっても構わない。普通にしてはいけないことをしたんだから。



ただ、洸夜くんが自分の気持ちに気づいてないだけで、もしかしたら私じゃなくて、松原さんが好きって事もあり得る。そしたら、多分洸夜くんは、自分の気持ちに気づいて、松原さんと結ばれるんだろう。


あんなに、洸夜くんを第一に考えて、頑張ってきた松原さんの努力を無駄にしたくない。それが私のせいなのは、百も承知。だからこそ、結ばれるべき2人なら……。



って、私にとっての最悪な結末も考えてた。


なのに………


「乃々花、教えてくれてありがとな。でも、これを聞いた今でも、俺は乃々花が世界で1番好き。心変わり、しない自信あるから。」



洸夜くんはやっぱり、私が1番ほしい言葉をくれる。あんなに、松原さんの幸せを……とかほざいてて、結局自己中なんだよね、私。


松原さん、ごめんなさい。



「なぁ、乃々花。乃々花は、俺と一緒にいたいって思ってくれてる?」


「うん……。」



一緒にいたいに決まってる。そのために、手術も決意したんだから。



「俺……松原にすごく酷いこと、言ったんだ。いや、あいつも悪いんだけど。」



洸夜くんから語られた、今日の松原さんとの出来事。


それは、すごく悲しい事だった。



「俺、もう一回松原と話すよ。ちゃんと。」



今日、病室に来た時とは違い、その表情は晴れやかな……いつもの洸夜くんだった。



「うん。」



これから、誰も傷つかない未来なんてないんだろう。でも……悲しい想いをする人が、1人でも少なくなる事を祈る。



未来の自分も、その周りにいてくれる人たちも、みんなが笑顔でいられるような日常が訪れますように。
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