君は私の唯一の光
あと2日。



カレンダーを見て、ため息を吐く。


不安……。だけど、希望もあるから。



頑張れ、私。




朝から、手術前の検査で忙しかったけど、ようやく一息。今は、15時。洸夜くんは、授業中かな。




私も一応、高校1年の歳なので、勉強。


手術成功したら、入学試験受けなきゃいけないから、勉強は必須。



勉強をみんなでするって、どんな感じなんだろう。1人でしか、した事ないから、わからないや。でも、きっと楽しいんじゃないかな。



学校……って、どんなとこなんだろう。私が知ってるのは、幼稚園まで。んー、想像するの難しい。


まぁ、入学の時の楽しみにとっておくか。




ガラガラ————


黙々と勉強していたら、扉が開いた。あれ、もう洸夜くんがくる時間になったのかな?


扉を見ると、いつもの眩しい笑顔をした洸夜くん。……と、松原さんがいた。



なんで松原さんが……?松原さんとは、あの日以来会っていない。洸夜くんから、無事に仲直りしたと聞いただけ。松原さんは、私に会いたくないでしょ?なのに、なんで?



「よっ!乃々花。」


「あ、うん。」



えーっと……どうするべきなのかな?




「じゃあ、俺はちょっと一階の売店行ってくるわ。」




そう言い残して、颯爽と出て行った洸夜くん。そして、残された私と松原さん……。どんな状況ですか!?




「お久しぶり、桑野さん。」



「あ、えっと……お久しぶりです。」



以前と変わらず、キリッとした大きな瞳が特徴的な松原さん。全体的に、“カッコいい大人”っていう雰囲気がある。羨ましい……。



ゆっくり、私のベットサイドに来た松原さん。そして、頭を下げた。



「この前は、ごめんなさい。」



一気に、流れに任せて言ってしまうんじゃなくて、一言を噛み締めるように、ゆっくりはっきり言われた。


あまりにも突然すぎて、アタフタしてしまう。



「あ、あの、顔をあげてください!」



こんなこと、初めてでなんて言ったらいいかわからない!




「私の顔なんか、一生見たくなかったって思ってたなら、本当にごめんなさい。」



「いえ!そんなことはないですけど。」



早く帰ってきてよ、洸夜くん!!



「私の自己満足のために、2人を利用して、不快にさせて、すみませんでした。もう、桑野さんには関わらないつもりだったんだけど、洸夜が………。」



洸夜くん、何を言ったんでしょうか?



「友達になってやってほしいって言われて……。」



少し……いや、かなり気まずそうに紡がれる言葉たち。洸夜くん、そんなこと言ってたの!?


………嬉しいけど。


これで、友達2人目ができるのかな……?いや、洸夜くんは“彼氏”になったから、友達からは外れてる?


なんか、自分で考えてて、恥ずかしくなってきたんだけど!



「あの……」


はっ!松原さんがいるのに、迷想しちゃってた!!



「私なんかでよければ、友達になってもらえませんか?前のことがあって、嫌かもしれないけど、」



「よろしくお願いします!」



あっ……だいぶ食い気味に言っちゃった。


引かれないかな?


恐る恐る松原さんを見ると、キョトンてしてる。私……気づかないうちに、なにかやらかしちゃった?



「私なんかで、いいの?」



「え………?」



「だって、洸夜のこと好きだったし、桑野さんのこと傷つけたし。……泣かせちゃったし。」



でも、それって………




「全部、“好きだから”ですよね?」



「え?」



「洸夜くんの事好きだったから、私と離そうとしたし、自分から洸夜くんに嫌われにいったりしたんですよね?」



「………うん。」



「でも、今はもう好きじゃないんですよね?」



「……うん、吹っ切ったから。」




それなら、もう何も心配する事はないでしょ?それに……松原さんは、誰よりも優しい人だと思うから。




「私、松原さんと友達になりたいです。いいですか?」



改めて言うと、松原さんは元から大きな瞳を、さらに大きく見開いた。


えっと………?



どうすればいいのかな……この空気感。


悩んでいたら、松原さんが吹き出した。



「桑野さん、いい子すぎ。これは好きになっちゃうわ。」



私って、いい子なの?自覚ないんだけど。というか、かなりのわがままっ子で、泣き虫な、面倒くさい奴だと思われてると思う。



「こちらこそ、よろしくね。乃々花。」
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