君は私の唯一の光
ピッピッピッ————




機械音に目を覚ます。




真っ白な天井。




窓からは、日差しが差し込む。




起きあがろうにも、何かに邪魔されて、動けない。




右手は、誰かに握られている。





「戻ってきた……?」




見慣れた、10年間過ごしてきた病室。やっと、戻ってこれたんだ。




空いている左手で、酸素マスクを外す。そして、右を見れば、会いたくてたまらなかった君が、私の手を握っていた。




前にも、このシュツエーションあったな。






「洸夜……」





愛おしい君の名前を呼ぶ。すると、洸夜は一気に飛び起きた。びっくりした……。




「乃々花……?」




元から大きな目を、さらに大きく見開く洸夜。




「乃々花、だよな?」




「……そうだよ。」




と言っても、まだ信じられないのか、私の右手首を触った。




「……何してるの?」




「脈測ってる。」





あぁ、なるほど。そういう考えね。





せっかくだから、気の済むまで、放っておく。




多分、3分くらい、ずっと測ってた。





「マジで生きてる?」




「生きてるよ。」





そう言っても、まだ信じられないらしく、今度は自分で自分を殴ってた。まあまあな勢いで……。痛そう。





「本当に、現実?」




「うん、現実。」





そろそろ信じてよ。ちょっと悲しいんだけど。



ゆっくり、起きあがる。ベットも、楽に座れるように、上半身の部分を上げた。



「っ、乃々花…」






ギュッと、強く、痛いくらいに抱きしめられる。私の存在を確認するように、優しく、後頭部を撫でられる。






「……おかえり。」




「……ただいま。」





洸夜、私、頑張ったよ?




あの暗闇の中で、必死に耐えた。




でも……洸夜が呼んでくれなかったら、私、あのままあそこで、独りぼっちだった。




君が、光だったんだよ。





君の腕に包まれると、すごく安心する。





帰ってきたんだって。心の底から、落ち着ける。






洸夜。






やっぱり君は、私にとって、唯一の光だよ。







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