君は私の唯一の光
【said 乃々花】



11月17日。



あと3日で退院!!念願の外だっ!





嬉しすぎて、鼓動がヤバいくらいに鳴ってる。




それでも、少しの寂しさは残る。




11年間過ごしてきた病室。なにより、洸夜と初めて出会った場所だもん。




最初はとんがってたなぁ、自分。洸夜のこと、内心めちゃくちゃバカにしてたし。失礼ながら……。ってか、初対面でムキになってキレる方がガキじゃん!





目の前のベットから、洸夜がいた時の想いが思い上がる。あの時の余計な心配事って、なんだったんだろう。





洸夜と長い時を過ごしたこの病室。辛い時も、幸せな時も、私の人生が詰まってる。





いっぱい泣いて、いっぱい笑った日々。





これまで生きた毎日、本当にありがとう。






洸夜のベットを眺めていたら、重大なことを思い出した。






「手紙入れっぱなしじゃん!」





危ない危ない。あんな恥ずかしいの見られてたら、死んじゃうよ。







「えっと、上から2番目の引き出しだったよね。」






そっと開くと、中には、1つの封筒。ただ、私が探していたものじゃない。






「これ……」






白い封筒には、“乃々花へ”という、綺麗な字。それは、明らかに洸夜の字だった。






慌てて中を見ると、丁寧に折られた便箋。






『乃々花へ

乃々花の手術中、手紙を見つけてビビった。あんなに「生きろ!」って言ってたのに、って思って。

この手紙を乃々花が読んでるってことは、乃々花は生きてたんだよな?なら、もうなんでもいいや。

手紙、ありがとう。乃々花が、俺をどんな風に思ってくれてるのか知れて良かった。まあ、自分で言うと恥ずかしい事ばっかりだったけど。

乃々花の支えになれてたなら、本望だよ。初めて会った時、うっとーしくてごめんな。反省してる。このやりとりは、もう終わりって言われたから、これで辞めるけど。

デート、しような。いっぱい連れ回すから。どこでも行きたいところ連れてくし、俺も着いてきてもらう。乃々花がしたいこと、全部するぞ!それが今の俺の、人生目標。

早く編入試験受けて、一緒の高校生活送ろう!あと、俺の文化祭での活躍を、しっかりと見ること!絶対大事!!でないと、俺がなんのために慣れないことやってるのか、わかんないじゃん。

乃々花の未来が、明るく照らされてますように。そして、俺だけの乃々花でいてくれますように。

これ、毎年のクリスマスと七夕のお祈りにするから。絶対叶えろよっ!

P.S.
乃々花よりも好きになる人なんて、この先絶対に現れないから!乃々花が生きてないと、俺は将来孤独死だからな!


洸夜より』





拍子抜けで、しばらくボーっとなった。洸夜って、手紙とか書くんだ。なんでここに手紙が入ってること気づいたんだろう。しかも、なんで返事書いてくれたんだろう。



うーん、わかんないや。



最初はびっくりしたけど、それが落ち着いたら、急に涙がポロポロと溢れてきた。





思いがけず、手紙に感動したらしい。私、涙もろいのかな。





「こんなの、泣かないわけないよ。」





私が望んでることが、人生目標とか言ってるし。意味わかんない。




洸夜の丁寧で綺麗な字で(つづ)られた想い。





「洸夜のバカ………優しすぎだよ。」





前の話、覚えててくれたり。編入試験の合格とか。デートとか。文化祭とか。




絶対、合格するし、デート行くし、文化祭も見に行くもん。なんのために、あんな怖い思いして戻ってきたかわかんないじゃん。





「洸夜………」




もう、ちょっとしたことですぐに洸夜に会いたくなる。あの笑顔が見たくなるの。




私、洸夜のおかげで幸せだよ。毎日が、虹色で輝いてる。





洸夜、私を好きになってくれてありがとう。私は、洸夜以上に素敵な人には一生出会えない。





幸せを、ありがとう。





奇跡みたいに輝く毎日を、ありがとう。



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