君は私の唯一の光
「こ、うや?」




「うん。俺に見えない?」




「いや、違くて……」





だってさ、顔はいつも通りの優しい爽やかイケメンなんだよ?でもでも、髪型がさ!ワックスで、固められてるの!後ろにかきあげた感じで!




おまけに、執事服!……かっこよすぎ、でしょ。




い、色気が………半端じゃない!







「顔赤いけど、俺に見惚れた?」





イジワルな笑顔で問う洸夜。




「うん……。いつもカッコいいのに、今日は段違いでカッコいい。」





「ありがと、乃々花。」





そう言って、頭を撫でてくれる洸夜。本当に、心臓が爆発しちゃいそう。






「では、どちらをご注文されますか?お嬢様。」





洸夜に“お嬢様”なんて言われたら、本当にその気になっちゃう!一般人なのにっ!!





あ、でも、一応お父さんはグループの社長だから、違う?でも、私自身は超一般人だもんね。






「……オススメ、ください。」





もう、洸夜の色気のせいでメニューすらも考えられなくなっちゃってるよ!!






「かしこまりました。良い子でお待ちくださいね、乃々花お嬢様。」






「……は、はい。」











そんな甘々な空気が2人の間に流れていた頃————






「おい、あの子って洸夜の彼女?」




「絶対そうじゃん!」




「え、女の子かわいすぎるでしょ!」




「超お似合いじゃん!」




「めっちゃラブラブだしっ!」




「絶世の美男美女カップルじゃん!」





ウェイターから客まで、室内にいたほぼ全員が洸夜と乃々花のやりとりを見ていたのです。











「お嬢様、お召し物お似合いですね。」




「あ、ありがとうございます……」






洸夜は、照れて顔が赤くなった乃々花をいじって、楽しんでました。












「こちら、ご注文された僕のオススメでございます。」





運ばれてきたのは、美味しそうなカップケーキとミルクティー。




カップケーキには、ホイップクリームにベリー系の果物とソースがかかっていて、見た目もかわいいし、なにより美味しそう。





「いただきます!」





「どうぞ。」





食べようと、フォークを手に持とうとした時、洸夜はテーブルを挟んで目の前の椅子に座った。



もしかして……





「洸夜、休憩?」





「うん。今からフリータイム。で、乃々花とデートの時間。」





「……やった!!」





やっと、洸夜とデートできる!






「早く食べるね!」




「ああ。」





「ん、おいひい!」





甘い生地に酸味のベリーがいい感じにマッチしてる。ミルクティーも、ほどよい甘さ。





「乃々花、一口ちょうだい。」




「もちろん!あ、フォーク……」





今ここにあるフォークは、私が口をつけてしまったもののみ。新しいやつ、もらわないと、って思ったのに………






「乃々花、食べさせて?」




「へ?」




「“あーん”、して?」





“あーん”って、あの!?恋人同士がやるやつ!?夕菜さんに借りた漫画に載ってたやつ!?




「わ、わかった。でも、フォークもらわないと………」





「そのフォークでいいだろ。」





「でも、これ私が使ったから」




「早く。」





口を開けて待っている洸夜。本当に私が使ったやつでいいのかな?……本人がいいっていってるから、まぁいっか。





「はい、どうぞ。」




「ん。」





パクッと口に含んだ洸夜。こういうの、好きかな?甘いものとか好きだったら、お菓子作りに挑戦して、上手にできたやつ食べてほしい!





「試食した時よりうまい。」




「味違う?ベリーが多めだった、とか?」




「乃々花が食べさせてくれて、間接キスしたから。」





カンセツ、キス!?!?!?!?!?





それって、意味的に考えて、私が口をつけたものを洸夜も口につけたってことだよね?間接的にキスしたってことで合ってるんなら、私の考え方は間違ってない!




それが、あのフォークだ!!!洸夜、間接キスしたかったのかな?だったら嬉しいな、なんてね。





そんなことを考えながら食べてたら、だんだん恥ずかしくなってきた。もう、洸夜のせいだ!!





「ごちそうさまでした!」




「うまかった?」




「うん!とっても!」




「それは良かった。」





ニコッ、って効果音が付きそうな笑顔にこっちまで笑みが溢れる。





「じゃあ、行こうか。」




「うん!」
< 80 / 97 >

この作品をシェア

pagetop