君は私の唯一の光

君との時間 said 乃々花

「……か、かかかかっこいい!!!」




「……照れる。」






今、私は体育館ホールの舞台裏にいる。限られた人しか入れない……ましてや、生徒でもない私がここに居させてもらえる理由は、30分ほど前まで(さかのぼ)る。



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「桑野乃々花さんですよね?」





「はい、そうですけど……?」





外の屋台に寄り道しながら体育館ホールに向かっていた私は、誰かに後ろから声をかけられた。





そこには、どこかで見たことのある女の子3人。……たしか、視聴覚室。洸夜と写真を撮ってもらったりしている時に、同じ場所にいた、と思う。






「ちょっと、来てもらってもいい?」





「……わかりました。」





着いていくのはいいんだけど、洸夜の発表時間までに間に合うかな?方向音痴だから、ここに戻ってくるまでにもまあまあ時間がかかっちゃいそう。……ちょっとでも道に迷ったら、誰かに聞こう!恥ずかしがってる場合じゃない!





そんな意気込みをしながら連れてこられたのは、人気(ひとけ)のない校舎裏。






着いて早々、女の子たちの比較的柔らかかった顔が、ぐっと歪んだ。……なんか、嫌な予感がする。






「あんたさ、洸夜くんと早く別れてよ。」





……やっぱり。




夕菜さんに借りた漫画に、ヒロインの子がこういう風に女の子たちに迫られるシュツエーションがあったんだよね。しかも、その彼氏さんは人気者で。今の私と、一緒だ!!





そんな呑気なことを思っていたら、どんどん目の前の3人の顔が、怖いものになっていく。





「……嫌です。」





私、洸夜に「別れて」って言われない限り、絶対に別れないもん。洸夜に言われたって、別れられるのかわからないのに、知らない人に言われるくらいじゃ、負けないもんね!





「はぁ?あんたなんて、ブスなんだからすぐに捨てられるわよ?アタシは、忠告してあげてるんだから。感謝して、はやく別れなさいよ。」




「嫌です。洸夜に直接言われない限り、別れません。」




「あんた、浮かれてんじゃないわよ。洸夜くんが、あんたみたいなブスを本気で好きになるわけないでしょ?」




「あり得ないとは思いますが、私は洸夜のことを信じてるので。」






洸夜は、絶対に人を傷つける行動はしないし、優しくて、思いやりのあるこれ以上ないくらいに素敵な人。そんな洸夜を悪く言うなんて、この人たち最低じゃん!




クラスメイトなのに、そんなことも分からないのかって、呆れてくる。




もし、仮に嘘だったとしても、好きな人の悪口言える神経、どうかしてるでしょっ!!
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