君は私の唯一の光
君のおかげ said 乃々花
目が覚めた。お兄ちゃんが手を握って、こっちを不安そうに見つめている。
いつもの感じ。いつもの、倒れてから目覚める時と全く変わらない。
それから、深谷先生や由奈さんがいつも通り体に付いてる機械を取ってくれた。酸素マスクはダメだけど。
しばらく手を握ってくれてたお兄ちゃんも、大学があるからって、帰ってしまった。
ママもパパも、出張で海外に居て、来られなかったって、お兄ちゃんに聞いた。
仕方ない………って頭ではわかってるんだけど、やっぱり心のどこかでは、寂しいと思ってしまう。
1人になった病室で、ボーっとしていたら、足元の方から、カタッと音がした。思い出した。神山くんが、いたんだった。
なんか、ほっとした。
ベットを操作して、体を起こすと、目の前には、松葉杖を使おうとして苦戦している神山くんが。水でも買いに行きたいのかと思ったら、私に気づいた神山くんは、眩しい笑顔で笑うと、私のベットサイドの椅子に座った。
「ごめんなさい!」
さっきまでの笑顔はどこに行ったのか、座った直後、急に真面目な顔になって、頭を下げられた。
「え、どうしたの?」
酸素マスクを軽く外して聞くと、罰が悪そうな顔をした神山くんが、顔を上げた。
「昨日、俺が何も考えず、乃々花の事いろいろ聞いちゃって、怒らせて………その後、すぐに倒れたんだから、俺が悪いんだよなって思ってて。」
「……………。」
拍子抜けだった。なんか、失礼かもしれないけど、そんなに自分を責めるような人じゃなさそうだったから。
「あの、大丈夫だよ。私こそ、何も知らなかったのに、勝手に怒ったりして、ごめん。」
「いや、こちらこそごめん。」
「神山くんが謝る事ないよ。私が、勝手に。」
「違う。俺がもう少しいろんなことに配慮できるような人間だったら。」
「そんな事言ったら私だって。」
いつまででもキリがない言い争いだって、2人同時に気づいて、思わず笑ってしまった。笑ったのって、いつぶりだろう。
「これ、キリねーな。」
「うん。」
「じゃあ、これ!」
そう言って差し出された小指。意味がわからなかった。
「小指…が、どうしたの?」
「あ…そっか。これも知らないのか。」
そう呟くと、急に私の右手をとって、小指を立たせた。そして、そのまま自分の小指と絡めた。
「これ、『指切り』って言って、本当は約束とかする時に使うんだけど、俺らの中では、仲直りとか、和解の時にも使おうぜ。握手とかもあるんだけど、こっちの方がいい気がする。俺、握力強いから、調子に乗って握っちゃうと、乃々花の指、折っちゃいそうだし。」
「指切り……。」
「あ、嫌だったら、ごめん。」
「ううん!嫌じゃない。すごく嬉しい。」
なんでかな……。何か新しい事が知れる機会が少ないからかな。とてつもなく心が満たされて、暖かくなる。これも、神山くんがここに来てくれたからだよね。
「ありがとう、神山くん!」
私が言ったのと同時に、神山くんの顔が赤くなった…気がする。
「顔、赤いけど、大丈夫?」
「え………あ、うん!全然平気!」
「そう?」
なんかわからないけど、まあいっか。
「あ、あのさ!」
「ん?」
「俺のこと、“神山くん”じゃなくて、洸夜って呼べよ。その方が、友達って感じする。」
「え…?ともだち……?」
「え?俺ら友達じゃないの!?」
ともだちって、あの…友達だよね?夢じゃないよね?
「友達……なってくれるの?」
「そんなの当たり前。てか、昨日の時点で友達だと思ってたわ。」
「あ…ありがとう。神山くん。」
すごくすごく、とてつもなく、嬉しかった。自分には、友達なんて絶対出来ないんだって思ってたから。でも、それも今日でおしまいで、これからは、神山くんが友達なんだ。
「あーもー、泣くなって。あと、呼び方も、洸夜!」
「こう…………や…くん。」
「あー、“くん”ついちゃった。ま、いっか。とりあえずは。」
こうして、初めての友達ができた私。この日の事は、多分死んでからも忘れられない。
いつもの感じ。いつもの、倒れてから目覚める時と全く変わらない。
それから、深谷先生や由奈さんがいつも通り体に付いてる機械を取ってくれた。酸素マスクはダメだけど。
しばらく手を握ってくれてたお兄ちゃんも、大学があるからって、帰ってしまった。
ママもパパも、出張で海外に居て、来られなかったって、お兄ちゃんに聞いた。
仕方ない………って頭ではわかってるんだけど、やっぱり心のどこかでは、寂しいと思ってしまう。
1人になった病室で、ボーっとしていたら、足元の方から、カタッと音がした。思い出した。神山くんが、いたんだった。
なんか、ほっとした。
ベットを操作して、体を起こすと、目の前には、松葉杖を使おうとして苦戦している神山くんが。水でも買いに行きたいのかと思ったら、私に気づいた神山くんは、眩しい笑顔で笑うと、私のベットサイドの椅子に座った。
「ごめんなさい!」
さっきまでの笑顔はどこに行ったのか、座った直後、急に真面目な顔になって、頭を下げられた。
「え、どうしたの?」
酸素マスクを軽く外して聞くと、罰が悪そうな顔をした神山くんが、顔を上げた。
「昨日、俺が何も考えず、乃々花の事いろいろ聞いちゃって、怒らせて………その後、すぐに倒れたんだから、俺が悪いんだよなって思ってて。」
「……………。」
拍子抜けだった。なんか、失礼かもしれないけど、そんなに自分を責めるような人じゃなさそうだったから。
「あの、大丈夫だよ。私こそ、何も知らなかったのに、勝手に怒ったりして、ごめん。」
「いや、こちらこそごめん。」
「神山くんが謝る事ないよ。私が、勝手に。」
「違う。俺がもう少しいろんなことに配慮できるような人間だったら。」
「そんな事言ったら私だって。」
いつまででもキリがない言い争いだって、2人同時に気づいて、思わず笑ってしまった。笑ったのって、いつぶりだろう。
「これ、キリねーな。」
「うん。」
「じゃあ、これ!」
そう言って差し出された小指。意味がわからなかった。
「小指…が、どうしたの?」
「あ…そっか。これも知らないのか。」
そう呟くと、急に私の右手をとって、小指を立たせた。そして、そのまま自分の小指と絡めた。
「これ、『指切り』って言って、本当は約束とかする時に使うんだけど、俺らの中では、仲直りとか、和解の時にも使おうぜ。握手とかもあるんだけど、こっちの方がいい気がする。俺、握力強いから、調子に乗って握っちゃうと、乃々花の指、折っちゃいそうだし。」
「指切り……。」
「あ、嫌だったら、ごめん。」
「ううん!嫌じゃない。すごく嬉しい。」
なんでかな……。何か新しい事が知れる機会が少ないからかな。とてつもなく心が満たされて、暖かくなる。これも、神山くんがここに来てくれたからだよね。
「ありがとう、神山くん!」
私が言ったのと同時に、神山くんの顔が赤くなった…気がする。
「顔、赤いけど、大丈夫?」
「え………あ、うん!全然平気!」
「そう?」
なんかわからないけど、まあいっか。
「あ、あのさ!」
「ん?」
「俺のこと、“神山くん”じゃなくて、洸夜って呼べよ。その方が、友達って感じする。」
「え…?ともだち……?」
「え?俺ら友達じゃないの!?」
ともだちって、あの…友達だよね?夢じゃないよね?
「友達……なってくれるの?」
「そんなの当たり前。てか、昨日の時点で友達だと思ってたわ。」
「あ…ありがとう。神山くん。」
すごくすごく、とてつもなく、嬉しかった。自分には、友達なんて絶対出来ないんだって思ってたから。でも、それも今日でおしまいで、これからは、神山くんが友達なんだ。
「あーもー、泣くなって。あと、呼び方も、洸夜!」
「こう…………や…くん。」
「あー、“くん”ついちゃった。ま、いっか。とりあえずは。」
こうして、初めての友達ができた私。この日の事は、多分死んでからも忘れられない。