君は私の唯一の光
「乃々花、身長何センチだった?」



「163!」



「へぇ……。じゃあ、俺と20センチくらい違うんだ。」



現在、俺は184ある。もう止まったけどな。先輩から、俺の身長くらいのものもあると教えてもらったから、安心。



「洸夜、背高いよね……。どこに行っても、頭飛び抜けてるし。」




乃々花さん、言い方。飛び抜けてるって……。




「うらやましい」と小声で膨れながら言う乃々花がかわいすぎて、文句は言えない。





「どういうのがいい?」




「ペアのやつ!」




「ペアって?」




「さっき、身長測ってくれたお姉さんが『彼氏とは、ペアのやつを着るべき!』っ教えてくれたの。お姫様と王子様のペアとか、おそろいとかあるんだって!」




なるほどな。また王子系を着なきゃいけないのは、だいぶキツいが……乃々花姫がそれを御所望なら、仕方ないか。




「ねぇ、コレは?」




乃々花が持ってきたのは、アラジンのコスチューム。どうやら、俺の身長のものを持ってきたらしい。



でもな……




「俺がコレ着るのはいいけど、乃々花はジャスミンのコスチューム着るの?寒くね?」




「あ、たしかに!」




11月下旬の寒さの中、あの腹出しはキツいだろ……。絶対風邪引く。ましてや、乃々花は冬の寒さに全く身体が慣れていない状態。深谷先生からも斎藤さんからも、注意が入っている。なのにコレを着るのはダメだろ。





「洸夜、コレはダメ?」




持ってきたのは、ラプンツェルのコスチューム。俺用と思われるフリン・ライダーのものも一緒に抱えてる。




「これなら、一応長袖だし上からコートを羽織っておけばいいんじゃね?」




今年は例年より、比較的暖かい。だから、まあいいだろう。




「やった!じゃあ、着替えに行こっ!」




乃々花は右手に衣装、左手に俺の手をとって音楽準備室を出た。そのまま、先輩方によって連れて行かれた個室で別々に着替えをし………





「どう、かな?」




待ち合わせた場所に現れたのは、ラプンツェルの服に着替え……長い髪を三つ編みにし、花を散りばめた乃々花。まじのラプンツェル。乃々花は髪が金髪っぽいから、余計にそっくり。



遅いなと思ったら……。
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