―――ファッション―――
あれから、2人は教室に戻ってくると、周りの友達とか講師の純は、予想外、というような顔をしていた。2人は席に着くと、『―――授業の続きをお願いいたします。』と言い張った。直哉はニヤッとすると、凛はドキ、と胸が熱くなる。こんな気持ちになったのは、初めてのことで、周りは悔しそうにみているが、2人は気にしない事にした。彼女は大人しく、授業を聞いており、時々、直哉に視線を送っている。直哉は斜め前の席に座っており、一緒に授業を聞いていた―――。
アパレル関係の仕事をするには、甘ったれた気持ちでは仕事は出来ない筈で、とても大変だった。
ずっと好きだった人は、二人もおり、直哉と大学生の正樹であった。婚約指輪しており、直哉の事も最初に会ってから、気になっていた。彼にも時々、勉強を教えてもらう事になった。
『―――貴方・・・見違える程、絵の描き方や、色彩の勉強をしていたのね。別に私達は・・・苛めではなく、叱咤激励だったのよ!!!』
凛は力が抜けたようにしゃがみ込むと、『―――良かった・・・良かった・・・私の事・・・認めていてくれていたんですね?』と、泣き笑いした。
『―――良く頑張ったわね・・・貴女は・・・もう私がいなくても、大丈夫ね・・・私ね・・・転勤が決まったの・・・』
『え・・・えぇぇぇぇ?て・・・転勤?』
花見純は涙を流しており、彼女をふわりと抱きしめた。

―――ごめんね・・・

もう少し―――良かったけど、貴方の事は・・・忘れないよ?

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