―――ファッション―――
―――それから―――
家に帰ってから、彼女達は勉強会をする事になり、直哉と友達に教えてもらう事にした。利恵ちゃんは呼んでも、行けない、としか言ってくれなくて、仕方なく、皆川康と生田マリアを呼んだ。まるで御家ダブルデートでもあり、四人はジュースを飲みながら、勉強会をしていた。スタイリストを目指す事は、とても綺麗な色彩の洋服を選ぶ事で、決して、間違えてはいけない、仕事である。否―――仕事と言うのは、間違えては行けないもので、凛は自分の事を考えていた。優秀な彼女に、こんなペイペイな自分が、何かの相談に乗るのは、いかがなものか?―――そう思った。だけど、彼女を放って置けないし、利恵ちゃんは泣いていた。何かがあったのは確かで、凛は電話をしようと思い立った。その時、ガシッと直哉に腕を掴まれると、凛は吃驚して携帯電話を落とした。
直哉は怖い顔をすると、『―――辞めとけ・・・自分の問題だ・・・』と凛に吐き捨てた―――。
凛はハッと振り向くと、其処には、『よう・・・』と腕をあげ、手を振って来る、あの人の姿が。
直哉はグッと唇を噛みしめると、『―――あ・・・兄貴・・・何で・・・こんなところに?』と吐き捨てる。直哉は思わず殴ろうとした。中谷凛は中村正樹と五歳違い、三角関係でもある―――。
『―――御免・・・利恵に会いに来たんだ・・・ちょっと、此処にいると、思ってな―――。』
直哉はギリッと唇を噛みしめると、『―――ならば・・・とっとと帰れ―――。』と吐き捨てた。
『お前・・・俺が・・・此処に来た理由、分かるか?』
凛は怯えた表情を見せると、『貴方に・・・話す事は、ない―――。』と、吐き捨てると、何処かへ行こうと思い立った。

―――御免・・・もう、会わないって・・・決めていたのに・・・

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