こじらせトライアルグル2
誕生日。


それはお母さんが死んでしまった日。






私が生まれたのと同時にお母さんはこの世からいなくなった。





それを知ったのはちょうど言葉を覚えたのと同じ時期だったと思う。







幼ながらに罪を感じた。





私の誕生日はおめでたい日じゃあないんだ。




家族のみんなは祝ってくれた。


お父さんだって、おばあちゃんだって、



みんな、生まれてきてくれてありがとうって言ってくれた。







でもね、どうしても好きになれなかったんだ。自分の誕生日を。








でもね、それを変えたのはあいつだった。






生まれてきてくれてありがとう。







その言葉は、お父さんにかけてもらったありがとうよりも、おばあちゃんにかけてもらったありがとうよりも、









ずっとずっとうれしかった。










そののありがとうだけで










この日を好きになることができたんだよ?




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