身ごもり婚約破棄しましたが、エリート弁護士に赤ちゃんごと愛されています
プロローグ
修二(しゅうじ)が好きだった。

憧れの先輩、たったひとりの恋人。
明るくてムードメーカーで、思いやり深い修二が大好きだった。

「陽鞠(ひまり)のことが世界で一番好きだよ」

そう言って笑ってくれた修二。
ずっと一緒にいたかった。いられるものだと思った。

「私も修二が好き。大大大好き!」

二十三歳の私は、子どものように素直で無邪気だった。社会に出て、それなりに大人になっていたけれど、まだ永遠を信じる純粋さがあった。そして無鉄砲なまでの勇気があった。
修二との未来を失わずにいられると根拠のない自信を持っていた。

「もし、陽鞠と離れることがあっても」

修二は私にキスをして言った。

「俺は絶対迎えに行くよ。何年かかっても迎えに行く」

どうして修二はそんなことを言うのだろう。あのとき、私は思った。
ずっと離れずにいればいいのに。離れる理由なんかどこにもないのだから。
だけど、私は問い返さずにキスのお返しをして答えた。

「うん、どこにいても迎えにきてね」

私は、幸せな幸せな、恋する女の顔をしていただろう。

「きっとよ」


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