身ごもり婚約破棄しましたが、エリート弁護士に赤ちゃんごと愛されています
卵にバター、よく混ぜて生地を作り、ナッツとココアを入れ焼く。まりあには途中生地を混ぜるとき少し泡だて器を触らせ、ナッツを入れるのはお願いした。
オーブンの中で徐々に膨らんでいくケーキをまりあと並んで見つめた。

「しゅごいねえ」
「膨らむねえ」

初めての親子クッキングだ。まりあは次の自分の出番を今や遅しと待ちわびている。
焼き上がったケーキは粗熱を取って……。修二が帰ってきたら、泡立てた生クリームをのせ、まりあが目の前で飾り付けのチョコスプレーやアラザンをふりかけ完成の予定だ。
まりあは待ちきれないだろうと、有能なママは味見用もご用意しました!マフィン型でパウンドより短い時間で焼いたものをおやつに出す。

「まりあ、美味しいねえ」

普段甘味の強いものはあまり食べていないまりあのために、このケーキ自体も甘さひかえめだ。それでもココア味の生地は、まりあには刺激的な甘さだったようだ。

「おいしいねえ」

幸せそうに目を細めている。これはきっと修二も喜んでくれるに違いない。

その日、修二が帰宅するのを私もまりあも心待ちにしていた。私はちょっとドキドキもしていた。夕食を作って出すのは普通のこと。でも、修二のためにケーキを焼いたのは初めてだ。いやいや、これはまりあからって名目だから。あんまり意識しないようにしよう。
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