身ごもり婚約破棄しましたが、エリート弁護士に赤ちゃんごと愛されています
どうやら、同僚の人のようだ。修二が玄関に向かうのを、まりあが追いかけ、その流れで私も玄関先へ。
ドアを開け、現れたのはロングヘアの美人だった。グレーのスーツを着こなし、手足の長いスタイルのいい女性だ。顔立ちは少々派手な感じかな。

「和谷先生、押しかけてしまいすみません。どうしても急ぎの要件がありまして、ご提出いただいたこちらの住所を訪ねてしまいました」

矢沢という女性は丁寧に頭を下げる。修二はさすがに困った顔をして答える。

「まずは電話すべきだと思うけど。ともかくありがとう」

修二は書類を受け取る。彼女が私と腕の中のまりあに顔を向けた。

「はじめまして、矢沢麗奈と申します。江田沼法律事務所で事務員をさせていただいています。和谷先生には大変お世話になっております」
「あ、はい。こんにちは。ええと、修二の……パートナーの陽鞠です。娘のまりあ」

修二に「パートナーとか言うな」なんてちょっと前に言ったけれど、現実問題私と修二の間柄を他人に説明する言葉が他にないと気づく。

「まあ、まりあちゃん。とても可愛いですね! 和谷先生そっくり」

矢沢さんが甲高い歓声をあげた。まあ確かに似てますが。
まりあは人見知っていることもあり、私の肩に顔をこすりつけながら、ちらちらと矢沢さんを見ている。誰にでも懐っこいまりあだけど、突然の来客にフレンドリーモードになれないようだ。
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