身ごもり婚約破棄しましたが、エリート弁護士に赤ちゃんごと愛されています
「矢沢くん、ごめん。ちょっとここで待っててくれるか」
修二は書類を手にリビングに引っ込んだ。『こんなところじゃなんですし』なんて言ってお招きするべきなのかもしれないけれど、なんとなく嫌で言葉として出てこない。
だって、急ぎとはいえ終業後の弁護士を追いかけて家まで来る? 書類だけならメールなりなんなりで済むでしょう。しかも、今ここが修二の自宅でないと、知っているようだし。
取り残された気分で、まりあをあやしていると、矢沢さんがくすっと笑った。
「本当に和谷先生によく似ていて可愛らしいわ」
「はは、本当に」
修二似をそんなに協調しなくても。一応、私にも似てるんですけどね~。
不意に彼女が真顔になった。その変化は驚くくらいで、私はぎょっと身構える。
「陽鞠さん、和谷先生とはまりあちゃんが産まれる前にお別れされたそうですね」
きりっとした表情と声音。私は驚きつつも答える。
「ええ」
修二のやつどこまで報告してるんだろうと思いつつ、ボスの江田沼先生には包み隠さず話しているだろうなと思った。だからこそ、婚外子のための時短勤務にOKが出たのだろうし。そして、矢沢さんというこの女性は事務方をやっているなら、事情を聞く機会もあるのだろう。もしくは、修二に格別の興味があって聞き出したとか……。
修二は書類を手にリビングに引っ込んだ。『こんなところじゃなんですし』なんて言ってお招きするべきなのかもしれないけれど、なんとなく嫌で言葉として出てこない。
だって、急ぎとはいえ終業後の弁護士を追いかけて家まで来る? 書類だけならメールなりなんなりで済むでしょう。しかも、今ここが修二の自宅でないと、知っているようだし。
取り残された気分で、まりあをあやしていると、矢沢さんがくすっと笑った。
「本当に和谷先生によく似ていて可愛らしいわ」
「はは、本当に」
修二似をそんなに協調しなくても。一応、私にも似てるんですけどね~。
不意に彼女が真顔になった。その変化は驚くくらいで、私はぎょっと身構える。
「陽鞠さん、和谷先生とはまりあちゃんが産まれる前にお別れされたそうですね」
きりっとした表情と声音。私は驚きつつも答える。
「ええ」
修二のやつどこまで報告してるんだろうと思いつつ、ボスの江田沼先生には包み隠さず話しているだろうなと思った。だからこそ、婚外子のための時短勤務にOKが出たのだろうし。そして、矢沢さんというこの女性は事務方をやっているなら、事情を聞く機会もあるのだろう。もしくは、修二に格別の興味があって聞き出したとか……。