身ごもり婚約破棄しましたが、エリート弁護士に赤ちゃんごと愛されています


修二と最後に会ってから半月が経った。六月半ば、私は毎日仕事と育児にバタバタしている。父の日向けにも花は出るので職場はまだ繁忙期のままだ。ゆくゆくはエリアマネージャーにと言われているので、本社や社外研修の機会もこれから増えてくると聞く。
まりあを育てていく上で、収入や役職は大事だ。ありがたい話だと思う。

私は明日三十歳になる。感慨深くもない。二十代なんて終わってしまえばあっという間だったなあと思うだけ。
ここ数年はまりあの成長ばかりを追っていて、自分の年齢や色々なことに無頓着だったようにも思える。

まりあは元気だ。保育園で毎日遊び、私や両親が迎えに行けばニコニコとしている。ごはんは相変わらずムラ食いだけど、言葉もどんどん増えてきた。

だけど、まりあはあれから毎晩夜泣きしている。
私が言ったせいだろう。もうパパには会いにいかないと。
あの日の帰り道も大泣きするまりあを寝かせてからでないと電車に乗れなかった。今は、毎晩深夜にはっと目覚め「ママ」「パパ」と言いながら泣くのだ。普段は元気なまりあが判で押したように同じ時刻に起きだし泣く。

まりあを追い詰めてしまっている。汗びっしょりで、泣きつかれて眠るまりあを見ていると、切なくなる。
わかっているのに、私は前に進めない。
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