身ごもり婚約破棄しましたが、エリート弁護士に赤ちゃんごと愛されています
三十歳の誕生日はちょうど木曜の店休日だった。今日はまりあとピクニックに行く約束をしている。
朝からお弁当を作って、レジャーシートも持った。梅雨の晴れ間。雨は降らない予報だからレインコートはいらないけれど、日差しがきつそうだから、帽子は必須。日焼け止めも、まりあとふたりで塗ろう。
ピクニックと言っても行く先は、少し離れたところにある大きな公園なので、ベビーカーで行く予定だ。

まりあは小さなリュックに修二からもらったくまのぬいぐるみを詰めこんでいる。一緒に連れていくそうだ。保育園でお誕生日会をするたびに歌うバースデーソングをずっと歌っている。
こうしていると、夜泣きなんかなかったみたいに見え、それがかえっていじらしい。

「いってらっしゃい。気を付けてね」
「はあい、午後に帰るね」

両親に手を振ってふたりで家を出た。

「よーし、まりあ、出発進行だー!」
「やったー!ゴーゴー!」

まりあはベビーカーの上で足をぶんぶん振りはしゃいでいる。
ここ最近、まりあはパパに会いたいと言わなくなった。その分のストレスが夜泣きという形で発露しているのかもしれない。
私が我慢させているのだ。そう思えば胸が痛い。
今日はせめてたくさん遊ぼう。まりあがちょっとでも気持ちを緩められるように、たくさん眠れるように。
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