身ごもり婚約破棄しましたが、エリート弁護士に赤ちゃんごと愛されています
エピローグ
玄関の開く音、荷物を置く音と同時に元気な声が聞こえた。
「ただいまー」
リビングにひょこっと顔を出したのはまりあだ。Tシャツにショートパンツ。長く伸びた髪は朝ツインテールに結ってあげた。五歳女子は元気いっぱいの表情。お出かけがものすごく楽しかったと見える。
続いてリビングに修二が現れた。
「ただいま。外、暑いよ。猛暑だ、猛暑」
「ママ、麦茶はー?」
まりあはろくに届かないのに冷蔵庫を開けて、背伸びして麦茶ボトルを取ろうとしている。後ろから修二がボトルを取り、グラスにこぽこぽと注いであげた。
むむ、気づいてしまったぞ。私は眉をひそめ、ふたりに尋ねた。
「まりあ、修二、アイス食べてきたでしょ」
ふたりはびっくりした顔をして、それからそろってまりあの服に視線を落とした。ふたりも見つけたようだ。まりあの白いショートパンツにどう見てもチョコミントにしか見えない色の染みができているのを。
「パパが買ってくれたんだよー」
すかさずまりあが責任を修二になすりつける。修二はびっくりしつつ、弁解を始めた。
「まりあがすごく暑そうだったから。熱中症になると困るだろ」
私はじとーっとふたりを睨む。