身ごもり婚約破棄しましたが、エリート弁護士に赤ちゃんごと愛されています
大学時代みたいにチェーンの居酒屋に行った。気安い店の方がいい。懐かしい気持ちもあったし、静かな店で向かい合うには気恥ずかしい想いもあったからだ。
『先輩、来年から弁護士さんってことですか?』
『いやいや、司法試験は受かったけど、来年は司法修習生だよ。検事や弁護士の勉強をして、進路を決めるんだ。俺は弁護士志望』
『すごいなぁ』
『平坂だってすごいだろ。おまえの会社、人気ブランドじゃん。外資系の。そのうち本社異動もあるかもよ』
『いえいえ、私なんか……』
そこまで答えてしゅんとしてしまった。仕事の自信がなくなっていたタイミング。修二の輝かしい未来に気後れしてしまった。
『英語、活かせると思ったんですけど、想像以上にハードルが高くて、日本本社オフィスにいたんですけど、結局店舗に異動になっちゃいました。ちょっと落ち込んでいたところです』
『へえ、素直に言うなぁ』
修二は感心したように頷いた。
『俺は見栄っ張りの方だから、自分に自信がない時は認めたくないし口に出せない。平坂は素直に自分の状況を分析できてるんだな』
『それって皮肉ですか?』
笑って見せると修二が苦笑いを返してきた。
『いや、褒めてるよ。でも、平坂に能力がないから異動ってわけじゃないだろ。現場を知っとけって判断だと思うよ』
ビールジョッキを傾ける精悍な横顔。カウンター席でよかった。じっと見ても目が合いづらい。もっともっと眺めていたいと思ってしまうのは、お酒のせいだろうか。
『俺なんかやっとスタートラインだよ。選んだ仕事から仕方ないんだけど、もう最前線にいる平坂のこと見てると焦るっていうか。うらやましくなっちゃうな』
『私のこと、慰めようとしてますね』
私はくすっと笑い、修二の顔を横から覗き込んだ。
『先輩、来年から弁護士さんってことですか?』
『いやいや、司法試験は受かったけど、来年は司法修習生だよ。検事や弁護士の勉強をして、進路を決めるんだ。俺は弁護士志望』
『すごいなぁ』
『平坂だってすごいだろ。おまえの会社、人気ブランドじゃん。外資系の。そのうち本社異動もあるかもよ』
『いえいえ、私なんか……』
そこまで答えてしゅんとしてしまった。仕事の自信がなくなっていたタイミング。修二の輝かしい未来に気後れしてしまった。
『英語、活かせると思ったんですけど、想像以上にハードルが高くて、日本本社オフィスにいたんですけど、結局店舗に異動になっちゃいました。ちょっと落ち込んでいたところです』
『へえ、素直に言うなぁ』
修二は感心したように頷いた。
『俺は見栄っ張りの方だから、自分に自信がない時は認めたくないし口に出せない。平坂は素直に自分の状況を分析できてるんだな』
『それって皮肉ですか?』
笑って見せると修二が苦笑いを返してきた。
『いや、褒めてるよ。でも、平坂に能力がないから異動ってわけじゃないだろ。現場を知っとけって判断だと思うよ』
ビールジョッキを傾ける精悍な横顔。カウンター席でよかった。じっと見ても目が合いづらい。もっともっと眺めていたいと思ってしまうのは、お酒のせいだろうか。
『俺なんかやっとスタートラインだよ。選んだ仕事から仕方ないんだけど、もう最前線にいる平坂のこと見てると焦るっていうか。うらやましくなっちゃうな』
『私のこと、慰めようとしてますね』
私はくすっと笑い、修二の顔を横から覗き込んだ。