身ごもり婚約破棄しましたが、エリート弁護士に赤ちゃんごと愛されています
私はというと、まりあのお宮参りで着た薄手のワンピース姿。まりあを抱っこしていると暑いから薄手でOK。それに、ダッフルコートを着て完成だ。
髪の毛も特にいじっていない。仕事のときはお団子にする長さの髪を、今日は下向きにゆるくまとめただけだ。メイクだけは普段よりはっきりめに施した。別れた男とはいえ、三年で老けたと思われたくない。

「それじゃあ、行ってきます」

駅まで父に車で送ってもらい、電車で出発した。ホームに入ってきた電車にまりあは大歓声。保育園の送り迎えや、お散歩で電車を見るけれど、こんなに間近で見ることはないものね。うーん、大丈夫かしら。
電車の中では抱っこ紐の中に入れ、縦に揺する。電車の揺れと朝からはしゃいでいたこともあって、まりあはあっという間に眠ってしまった。
ちょっと拍子抜けするくらい呆気ないけれど、これでよかった。少なくとも電車の中で大泣きし、先に進めないということは回避できた。

到着したのは新宿だ。以前働いていた店舗は駅に隣接したショッピングビルの中にある。今日の目的地は別な改札から出て、西新宿方面に歩く。
セントラルホテルのロビーに、待ち合わせの相手はいた。

「陽鞠」

和谷修二は片手をあげて微笑んだ。
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