身ごもり婚約破棄しましたが、エリート弁護士に赤ちゃんごと愛されています
三年ぶりに会う修二はあの頃と変わらず男前だった。周囲を歩く人が振り向くほど、整ったイケメンだ。なお、この感想は私の感情が動いてのものじゃない。あくまで客観的に見ての話。
細身のデザインスーツに、前髪をあげたスタイル。どこからどう見てもできる男オーラが漂っている。さわやかな笑顔を見せれば、クライアントはあっという間に魅了され、信頼してしまうだろう。そのくらい魅力的な男に見えた。

「元気そうで」
「修二、あなたも」

向かい合い、視線が絡む。即座に私は視線をまりあに落とした。
見つめ合うような間柄じゃないのだ。

「眠ってるの。起きたら紹介するね」
「ああ」

修二は抱っこ紐の中のまりあの寝顔を我慢できない様子で盗み見るものの、すぐに先に立って歩き出した。

「今日は騒がしくても大丈夫なように個室を取ってあるから」

ホテル内のフレンチレストラン、店内の奥に少人数用の個室がある。

「ランチコースにしてしまったけれどいいかな。その……まりあは」

名前を直接呼ぶのも初めてなのだろう。修二は戸惑ったように口にし、言い淀む。

「ほとんど大人と同じものを食べられるの。アイスクリームやチョコレートなんかの甘味の強いものは与えていないけれど」
「そうか。アラカルトで頼んでもらおうと思っていた。リゾットなんかはどうだろう。胡椒や更新料は抜いてもらえるし、子どもが食べると言えば味も薄くしてもらえる」
「そうね。それでお願いします」

眠るまりあを抱っこしたまま席につく。正面から修二と向かい合うのも実に三年ぶりだ。

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