身ごもり婚約破棄しましたが、エリート弁護士に赤ちゃんごと愛されています
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「ま~り~あ~!」
眩しい朝陽が差し込み、畳とお布団を照らす。私は幸せいっぱいな声をあげ、可愛いふくふくのお腹に顔を埋めた。
「ううう、うきゃあ、きゃはっきゃはあ!」
お腹に息を吹きかけられ、私の可愛い娘は大笑いだ。寝起きのぐずぐず防止に、笑わせるようにしているけれど、このお腹ぶぶぶの刑はなかなか好評である。
「まりあ~、まりあちゃん。おはよう、ママですよ」
「まあま~、はよ~」
二歳五カ月になる愛娘・まりあはぱっちりと大きな目を開け、手足をぐんとのばした。
もみじみたいにちっちゃな手。バラ色のほっぺ。くりくりお目めに長いまつげ、唇はクランベリーみたい。ああ、全部全部食べちゃいたいくらい可愛い!!
「まりあ~! ママの天使ちゃん! 今日も超絶可愛いよ~!」
まりあを抱っこして布団をごろんごろんしていると、廊下を通りかかった母が声をかけてくる。
「陽鞠、もう七時半よ。いいの?」
「よ、よくない!」
私はまりあを抱っこしたまま、がばりと起き上がる。まりあは起き上がりこぼしみたいな私が面白かったらしく、きゃあきゃあと大はしゃぎだ。
「まりあ、ごはん食べよう。おにぎりはどうかな~?」
「おにに、おにに、しゅきねえ」
にこにこと笑う。おにぎりのことだ。
「よ~し、ママにまかせなさい」
私はまりあを抱っこして元気に一階に降りる。