身ごもり婚約破棄しましたが、エリート弁護士に赤ちゃんごと愛されています
翌日木曜は店休日だ。まりあと午前中に公園に行き、午後はたっぷりお昼寝をした。忙しさが身体にきているようで、昼寝がものすごく心地よい。夕方には復活し、まりあと買い物に行くことにした。今日の夕飯は私が作るのだ。
あと数日で同居生活は終わる。週明けの火曜には両親が帰ってくる。修二は火曜の夜には引き上げると言っている。
ほっとしているような、戸惑っているような。
いや、早く離れた方がいいのだ。今の距離感を維持するためにも、これ以上慣れ合ったり、関係を揺らがせないように。

「まあま」

まりあに呼びかけられハッとした。

「ごめんごめん。ママ、ぼーっとしてたね」
「おかいものれしょ」

まりあは透明感のある瞳で私を見あげている。純真な視線に申し訳ない気持ちになった。

「そうね。お夕飯何にしよっか」
「おにくのたまごのがいいねえ」
「ピカタのこと? そうしちゃおう」

ベビーカーでやったーと歓声をあげるまりあ。いけない、いけない。まりあの前で、修二のことをごちゃごちゃ考えるのはやめよう。せっかくまりあとふたりの休みなんだから。
駅前のスーパーで買い物を済ませ、出てきたところで偶然佐富くんと会った。

「あれ、どうしたの?」

佐富くんは隣の駅が最寄りだ。バイトの無い日にこの近辺にいるのは珍しい。

「大学の友達のとこに行くんです。土産につまみとチューハイ買って行こうかなって」

にっこり笑う佐富くん。お酒を持って遊びに行くなんて、大学生らしいなあ。
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