身ごもり婚約破棄しましたが、エリート弁護士に赤ちゃんごと愛されています
佐富くんが挑むような目で修二を見た。

「今度まりあちゃんを連れて行きたいテーマパークがあって、その相談をしていたんです」

私は驚き過ぎて変な声が出そうになった。びっくりした~! 仮にもパートナーと言っている修二に対してそんなこと言っちゃうの、佐富くん。っていうか、私たった今断ったばかりですけど。
ああ、きっと佐富くんは『夫』と言わなかった修二にアピールしているのだ。あんたらの関係は知っているぞ、俺は奪う気でいるぞって。
佐富くん、人の好い優しい男の子くらいに思っていたけど、結構肉食系じゃない?……なんて感心している場合じゃない。

「さ、そろそろ夕食作らなきゃ。帰りましょう」

私は場の空気をぶっ壊すような明るい声で言った。

「まりあ、おなか空いたね!」

修二の腕の中のまりあに声をかけると、まりあは「しゅいたしゅいた」と空気を読んでいるのか絶妙な返しをしてくれた。


まりあはベビーカーに座らせ、佐富くんと別れて歩き出す。
私はすぐに言った。

「一応言っておくけど、遊園地に誘われて、断ったの」
「ふうん」

修二は興味なさそうな返事だ。視線はまっすぐ前を見ていて、こちらを見ようともしない。

「大学生がシングルマザー誘うって変だよね。からかわれてるのかな、はは」

笑ってみたりするけれど、修二は無言のままだ。
なんなのよ。なんで怒ってるのよ。明るく返しなさいよ。
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