夫婦、始めました!
年中
陽茉莉(ひまり)が、幼稚園の年中になって3ヶ月が経った7月、陽茉莉のクラスに新しい仲間が加わった。

野久保 夜月(のくぼ ないと)と言う名前の彼の家は、母子家庭。
その情報は、翌日には広まり、陽茉莉以外夜月と遊ぶ子はいなかった。

杏璃(あんり)は夜月君のお母さんとも仲良くなった。


‐「桜庭(さくらば)さん」

ある日、同じクラスの女の子のお母さんが声を掛けてきた。

「はい」

「あまり野久保さんと仲良くしない方がいいんじゃないかしら…?」

「夜月君の家が母子家庭だからですか?」

「…それは…」

相手のお母さんは口ごもる。

「あなたも皆から無視されてしまうわよ?
これ以上、野久保さんと仲良くしたら…」

「ありがとうございます、でもわたしは大丈夫ですから」

杏璃はニコリと微笑んだ。
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