子連れシンデレラ(2)~スパダリ社長の独占欲は極上の愛~
「ご馳走様でした」
先に食べ終えた私が腰を上げた。
「凛香さん…一人で大丈夫?」

「大丈夫よ…澪さん」

「お姉様がまた貴方を傷つけるようなコト言ったら、私に言って…微力だけど、私は貴方の味方だから…」

「ありがとう…澪さん」

私は澪さんとバイバイして、尚さんのテーブルに歩み寄った。

「行きましょうか…」

「はい」

私と尚さんは食堂を出て、誰も居ない非常階段の踊り場に足を運んだ。

「話って、昨日…『槇村レディースクリニック』で会った話ですか?」

「そうよ…私…不妊治療しているコトは澪や柊也、母にだって言ってないの」

「…」

「もしかして…貴方…柊也に話した?」

「いえ…私は誰にも話してませんよ…安心してください。尚さん」

「なら、いいわ…」

尚さんは安心した表情を浮かべてホッと胸を撫で下ろす。

「どうして内緒なんですか?」

「どうしてって…皆に余計な心配や同情をして欲しくないからよ…それに私のプライドが許さないの」

「プライド?」

「私の人生は今まで順風満帆だったの…まさか…子作りで躓くなんて…予想もしなかった…」

「尚さん…」

「・・・凛香さんは二人目を作るつもり?」

「まぁ―・・・はい…」

「…でも、凍結精子を使用しての体外受精でしか、授かれないでしょ?」

「はい…」

「成功率は低いでしょ?」

マウントを取って来るところが尚さんらしかった。

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