ズルくてもいいから抱きしめて。
姫乃の場合②
慎二が6年前の真相を話してくれた。
全て聞き終え、私は愕然とした。
私が失恋だのなんだのと悲しんでいた頃、慎二はもっと辛い思いをしていた。
自分が辛い中でも、自分のことより私のことを考えて別れを選んだんだ。
「何も知らなくて、、、何もできなくて、、、ごめんなさい。」
「姫乃が謝ることじゃないよ。知らせなかったのは俺なんだから。」
「それでも、私はこの6年間ずっと慎二のこと恨んでた。慎二は私のためにそうしてくれたのに、、、知らなくても最低だよ。」
慎二は、自分が悪者になってまで私の幸せを考えてくれた。
そうだ、この人はこういう人だった。
いつも自分のことより他人のことを優先にするような、とても優しい人だった。
どうして気付けなかったのだろう?
どうして私は彼を恨むことしかできなかったのだろう?
「ねぇ、姫乃。俺はね、もしあのとき君に真実を話していたらどうなってたかな?ってよく考えるんだ。でも、答えはいつも同じなんだよ、、、。遅かれ早かれ、俺たちはダメになってたと思う。」
「えっ?どうして?」
「姫乃は、忙しい俺のために寂しくてもいつも我慢してくれてたよね。俺は俺で、そんな姫乃の気持ちに気付いていながら甘えてたんだよ。お互い自分の気持ちを正直に話して来なかった。それが俺たちだったんだよ。」
「うん、、、そうかもしれない。私は慎二の夢を応援したかったから、“会いたい”とか“寂しい”なんて言って困らせたくなかったし、嫌われたくなかった。付き合っていても、いつも片想いしてる気分だった。でも、、、言わないと伝わるわけないよね。」
慎二が6年前、私に真実を話さず消えたのは、きっとそういう危うい関係性によるものだったのかもしれない。
もしお互い本音が言い合える関係だったら、きっと何があっても言いやすい雰囲気だったと思う。
「姫乃は、今幸せ?」
慎二からそんな風に問われるとは思っていなかったから、少し驚いたけれど私は迷いなく答えた。
「うん、すごく幸せだよ。」
全て聞き終え、私は愕然とした。
私が失恋だのなんだのと悲しんでいた頃、慎二はもっと辛い思いをしていた。
自分が辛い中でも、自分のことより私のことを考えて別れを選んだんだ。
「何も知らなくて、、、何もできなくて、、、ごめんなさい。」
「姫乃が謝ることじゃないよ。知らせなかったのは俺なんだから。」
「それでも、私はこの6年間ずっと慎二のこと恨んでた。慎二は私のためにそうしてくれたのに、、、知らなくても最低だよ。」
慎二は、自分が悪者になってまで私の幸せを考えてくれた。
そうだ、この人はこういう人だった。
いつも自分のことより他人のことを優先にするような、とても優しい人だった。
どうして気付けなかったのだろう?
どうして私は彼を恨むことしかできなかったのだろう?
「ねぇ、姫乃。俺はね、もしあのとき君に真実を話していたらどうなってたかな?ってよく考えるんだ。でも、答えはいつも同じなんだよ、、、。遅かれ早かれ、俺たちはダメになってたと思う。」
「えっ?どうして?」
「姫乃は、忙しい俺のために寂しくてもいつも我慢してくれてたよね。俺は俺で、そんな姫乃の気持ちに気付いていながら甘えてたんだよ。お互い自分の気持ちを正直に話して来なかった。それが俺たちだったんだよ。」
「うん、、、そうかもしれない。私は慎二の夢を応援したかったから、“会いたい”とか“寂しい”なんて言って困らせたくなかったし、嫌われたくなかった。付き合っていても、いつも片想いしてる気分だった。でも、、、言わないと伝わるわけないよね。」
慎二が6年前、私に真実を話さず消えたのは、きっとそういう危うい関係性によるものだったのかもしれない。
もしお互い本音が言い合える関係だったら、きっと何があっても言いやすい雰囲気だったと思う。
「姫乃は、今幸せ?」
慎二からそんな風に問われるとは思っていなかったから、少し驚いたけれど私は迷いなく答えた。
「うん、すごく幸せだよ。」