ズルくてもいいから抱きしめて。
「んっ、、、樹さん、、、もう許して、、、」

樹さんはいつも以上に私を攻め立てた。

何度も何度も時間を掛けてゆっくり。

「姫乃、どうして欲しい?」

「おねがい、、、樹さんが、、、欲しい、、、んっ、、、」

「よく言えました。、、、煽ったのはお前だからな。どうなっても知らねーから。」




、、、あれ?

あっ、そっか私あのまま寝ちゃってたんだ。

目を開けると、樹さんと目が合った。

「あっ、起きた。体大丈夫か?ごめん、ちょっと無理させた。」

樹さんは私の頭を優しく撫でてくれた。

この時間が好き。

私の頭を撫でる樹さんの表情は、いつも優しくてホッとする。

「、、、大丈夫。」

先ほどの激しさを思い出し、私は恥ずかしくて樹さんの胸に顔を埋めた。

いつも余裕で、たまに意地悪で、そんな樹さんが余裕を無くして嫉妬してくれたのが、すごく嬉しかった。

「姫乃、あのさ、、、」

抱きついていた胸から見上げると、樹さんはとても真剣な表情をしていた。

急にどうしたんだろう?

「、、、なに?」

「ここで、俺と一緒に暮らさないか?」

「えっ?」

「お前、ここからなら会社近くて便利だろ?寝坊しなくて済むし、、、いや、違う。俺が毎日お前と一緒にいたいんだ。」

「ふふっ、、、」

「どうした?何がおかしいんだよ。」

思わず笑ってしまった私を見て、樹さんは少し不安げな顔をした。

「、、、ううん。何もおかしくないよ。ただ、同じ気持ちだったのが嬉しくて。私も樹さんともっと一緒にいたい。」

会社で毎日顔は合わせていても、忙しくて一緒に過ごせない日も多かった。

これからは、ずっと一緒にいられるんだ。

こんなに幸せで良いのかな?

「じゃあ、これからもよろしく!っつーことで。」

私たちは、とても甘い甘いキスをした。
< 50 / 101 >

この作品をシェア

pagetop