夫婦未満ですが、子作りすることになりました
「跡継ぎ跡継ぎってうるさかっただろ。優秀な遺伝子がどうとか」
言ってた!
「そりゃあそうなったらいいなと思うから今のうちから口を出しちゃうけど、子どもなんてのは絶対どうこうできるって類いの話じゃないでしょう。それで結婚を取り消せなんて言わないわ」
私は胸がじわりと温かさに包まれ、たまらず零士さんの胸にすがった。
お母様は零士さんと同じことを言っている。「なんだ」と肩を落として笑う零士さんだがうれしかったに違いない。お母様と考えは違っていなかったのだ。
お母様のお許しも出た。若葉さんも納得してくれた。そして零士さんの気持ちもわかった。私にはもう不安なことはなにもない。大好きな零士さんとの結婚が目の前にあるだけだ。
「零士さんっ」
涙があふれて、お母様の前にも関わらず私は彼に抱きついた。優しく抱き止められ、胸の中で頭をなでてくれる。
「ごめん、凛子。不安にさせたな」
「いいえ。もう十分幸せです。零士さんが大好きです。結婚してくださいっ」
勢い余ってプロポーズしちゃった!
さすがに恥ずかしすぎて取り乱したが、零士さんは「もちろん」と手をとり、薬指にキスを落とした。