夫婦未満ですが、子作りすることになりました
「すみません。たいしたことはないんですが、数日前から微熱が下がらなくて。三十七度付近をずーっとウロウロと」
「咳や喉の痛みは?」
「ないです。ほんの少し吐き気があるだけで、あとは全然」
零士さんは私の額に手を置いたままピタリと止まり、なにか考えている。私が首をかしげて「零士さん?」と声をかけると、「ああ」と正気に戻った。
「ごめん、凛子。生理はきてる?」
わっ。恥ずかしい。布団を口までかぶり、モゴモゴと答える。
「いえ、もうすぐの予定です」
私の返事を聞いて、また考え込んでしまった。そんなに心配しなくていいのに。
「大丈夫ですよ零士さん。たいしたことありません。家に帰ったら薬を飲んでよく休みますから」
「……いや、念のため薬は飲まないでおいて。少し様子を見て、一緒に病院に行こう」
え? 病院なんて大袈裟な。そんな視線を送るが、彼は真剣な瞳で見つめていた。……あれ? ちょっと、待って。病院ってもしかして。もしかして……。
「体、冷やすなよ」
零士さんは私を布団でくるみ、そっとお腹に手を添えた。
END