夫婦未満ですが、子作りすることになりました
私と零士さんの子ども。想像するともはや現実とは思えず、まるで実感のない仮説にまたもやおかしくて笑みがこぼれる。真面目な顔をしていた明日菜も私につられてプルプル肩を震わせ始め、ついに吹き出した。
「アハハ! なんてね。そんなドラマみたいなことあるわけないか」
「もう、明日菜ったら!」
「ごめんごめん。でも、結婚の話を進める前に一回ちゃんと話したほうがいいよ。これは本当に。大切なことなんだから」
明日菜は最後に本気の顔に戻って私に忠告した。ありがたく受け取りつつ、こちらはまだニヤニヤしたままで「わかった」と薄い返事をする。
久しぶりにこんなに笑った。だっておかしいもん、遺伝子目当てで結婚なんて。明日菜ったらよくそんなこと思い付くんだから。いくら御曹司だからって、現実じゃあり得ない。