夫婦未満ですが、子作りすることになりました
向こうにしたらこれほど都合のいいことはないだろう。跡継ぎを身ごもってからの結婚、それが彼らにとっての万全だ。私も幸せを味わってから捨てられるくらいなら、子を宿して安心を手に入れてから結婚したい。
「凛子?」
零士さんはテーブルの下で私の手を握った。ハイになっていた気持ちがほんの少し落ち着きを取り戻す。演技かもしれないけど、優しくしてくれるこの人と一緒にいたい。
「がんばりましょうねっ、零士さん!」
これでいいんだ。私の遺伝子を捧げて、彼と幸せになる。間違ってない。
いつまでも怪訝に見つめる彼の視線を吹き飛ばすように、私はご両親とともに笑い続けた。