夫婦未満ですが、子作りすることになりました
偽りの愛に溺れて
お食事が終わり、ご両親とは料亭の駐車場で解散した。この後についてはまったく予定をが立っていなかったが、零士さんの「うちに来る?」という突然の誘いを受け、例のマンションへ車を走らせる。
車が地下に下りるための入口が裏手にあり、薄暗いそこへ停め、通路からエントランスへ入った。
「そんな緊張しないで。昼間はごめん、もうリラックスしていいから」
広いエレベーター内でそう言われた。ごめんとはご両親のことだろうか。コクコクとうなずいてみたが肩の力が抜けずに持ち上がったまま。
「いきなりとって食ったりしないよ。それを心配してるんだろ?」
「あっ、えっ」
半分正解で、半分違う。家にお邪魔してさっそく子作りが始まるのは恥ずかしいし、なんの用意もしていないから困る。しかし早くそうなって子どもを作らなければという焦りも半分あるのだ。ここでの勢いが重要な気がしていて、私自身も揺れている。