夫婦未満ですが、子作りすることになりました

できると軽く考えていたのに、いざ触れられると緊張で体が硬くなり、動けなかった。体だけでなく口もうまく回らなくなり「えっ、えっ」と言葉にならない声がポロポロと出てくる。

「できるんだろ?」

髪の中に手を入れられ地肌に触れられると、思わぬリアルな感覚に彼の肩を押し返していた。

「で、できます、気持ちはもうできるんですが、体がうまく動かなくて。ご期待に沿えるかどうか」

「じっとしてくれているだけで十分だ」

額からさらに鼻も触れ合った。目が回り始める。指を絡めて手を握られ、戸惑ってる間にパタンとソファに倒された。こうなるなんて教科書に書いてない。

「零士さんっ……」

改めて、私に乗っている彼は見惚れるほどかっこいい。視線だけで「いい?」と求める表情は甘く、男らしい強引さを感じる。

私は整えてきた髪がパラパラと乱れ頬にかかり、数本口のなかに入り込んでいた。おかしくなっていないだろうか。今でさえこんななのに、これから服を脱がされたり、体を見られて、どうなってしまうのだろう。
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