夫婦未満ですが、子作りすることになりました
「怖い? やめる?」
なかなか始めない零士さんは、なにかを楽しむように見下ろすだけ。無理だと言えば止めてくれそうだ。言ってしまってもいいだろうか。もっと勉強してから、ベストな状態で挑みたい。
「す、すみません」
「うん」
謝ると、頭をなでてくれた。よかった。
「もっと予習してから出直しさせてください。ドキドキして死にそうなんです」
涙目で訴えると、彼はうんうんと話を聞きながら、口に入った髪をもとに戻してくれた。優しい指先に恐怖はまったくない。怖い?と聞かれたがそんなことはなくて、本当に恥ずかしいだけなのだ。
「予習って、なにするの?」
たしかに、なにしよう。子作りのお勉強って。
「その……保健体育を復習します。書いてあった気がするので」
「保健体育? ……ハハッ」
小さく吹き出した彼は私の上から起きて、その後も口を押さえてクックッと肩を震わせている。笑ってる?
「あ……すみません、私」
「いや、いい。そうだな、保健体育ね。あー、なるほどなぁ」