夫婦未満ですが、子作りすることになりました

母は首をかしげたまま、「そうねえ」と考えだす。三ヶ月もかかっただろうか。私は遅いのか、早いのか。

「お母さんは二年かかったわよ」

「二年!?」

「そうよ。就職して結婚したのが二十七歳のときで、二年後にお兄ちゃんを妊娠したときに退職したんだもの」

嘘でしょう? そんなにかかるなんて。じゃあこの状態はあと何年も続いたっておかしくなくて、結婚もいつになるかわからないってこと?

「凛子はその二年後。ふふ、懐かしいからちょっと育児日記見てみる?」

母はフフフと上機嫌になり、アルバムがしまってある棚のガラス戸から、二冊出して戻ってきた。水色とピンク。兄と私のだ。

「これなに? 育児日記って」

「あなたたちが産まれてからたまにつけてたのよ。さすがに夜泣きで毎日は無理だったけど。ほら、凛子はまだマシだったけど、お兄ちゃんなんか大変でね」
< 73 / 104 >

この作品をシェア

pagetop