夫婦未満ですが、子作りすることになりました
母は首をかしげたまま、「そうねえ」と考えだす。三ヶ月もかかっただろうか。私は遅いのか、早いのか。
「お母さんは二年かかったわよ」
「二年!?」
「そうよ。就職して結婚したのが二十七歳のときで、二年後にお兄ちゃんを妊娠したときに退職したんだもの」
嘘でしょう? そんなにかかるなんて。じゃあこの状態はあと何年も続いたっておかしくなくて、結婚もいつになるかわからないってこと?
「凛子はその二年後。ふふ、懐かしいからちょっと育児日記見てみる?」
母はフフフと上機嫌になり、アルバムがしまってある棚のガラス戸から、二冊出して戻ってきた。水色とピンク。兄と私のだ。
「これなに? 育児日記って」
「あなたたちが産まれてからたまにつけてたのよ。さすがに夜泣きで毎日は無理だったけど。ほら、凛子はまだマシだったけど、お兄ちゃんなんか大変でね」