夫婦未満ですが、子作りすることになりました
「でも、凛子を探し出すようなことはできなかった。情けない姿を見せたし、俺にとってはヒーローみたいな存在だったから、恋人にするという発想すらなかった。……でも、たまたまバーで再会して、あんな姿を見たら、黙ってられなかったんだ」
ギョッとする。それって、うちひしがれて号泣していた私の姿のことだろうか。再会してガッカリしたかな。
「その節は、お恥ずかしい…」
「いや。わけのわからない男どもが、俺のヒーローになにしてくれてんだと思ったよ。こんなことなら俺のものにしてやるって意地になった」
また熱さが戻ってくる。お母様の前で恥ずかしげもなく、零士さんはまっすぐな想いを口にする。あまりに予想外の展開に、困って全員の顔を見渡した。
お母様はうなずき、微笑んでいる。
「あれから急に零士がなにごとにも熱心になったから変だと思ってたわ。そんなことがあったのね」