夫婦未満ですが、子作りすることになりました

「ああ。凛子がいなきゃ、おそらく神代製薬を継いでなかっただろうな」

信じられない。零士さんは本当に私に恋をしてくれていたなんて。そんなに前から、こんな私でもちゃんと誰かに求められていたのだと思うと、見失っていた幸せが胸に込み上げてくる。

私にくっついている若葉さんも、目を伏せながら切なく笑い、ため息をついた。

「相手が凛子さんじゃ仕方ないです。零士さんのヒーローだから、勝てっこないですもの」

「若葉さん……」

若葉さんまで私を認めてくれた。うれしくて、瞳がうるうると揺れ動く。

「というか零士さんも、婚約者が凛子さんだったなら教えてくれたらいいのに!」

「凛子には過去の俺は隠しておきたかったんだ。情けないだろ」

情けなくない。今まで出会ってきた男性は間違いを指摘しただけで不機嫌になったのに、私のあのひと言で考え直して行動を変えられるなんて、零士さんはすごい。
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