My life〜鎖を解いて〜
スーツを着た二人は、私が勉強しているテキストを見て「きちんと勉強しているのか」と満足そうに言う。この人たちにとって、私は一体何なんだろう?

「この前のテストも学年で一番だったらしいな」

「この調子なら東大も夢じゃないわね」

両親はそう言いながら私を見る。私は曖昧に頷き、勉強を再開しようと椅子にもう一度座った。

両親はいわゆるエリートと呼ばれる存在だ。有名な私立中学や高校に入学し、東大をどちらも卒業している。そして互いに勤めている会社は大企業で仕事もできる。両親は娘の私にもそうなってほしいと小さい頃から言い聞かせていた。

「いい大学に入って、いい会社に就職すれば幸せになれるんだ」

「お父さんとお母さんの子どもだもの。できるわよね?」

気が付けば、私は幼い頃から勉強することが当たり前になっていた。友達と遊ぶことさえ許されず、毎日のように塾や家庭教師をつけられ、勉強の日々。いつしか、自分のしたいことや友達という存在がわからなくなっていた。
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