アクマの果実
「はぁ...美味しいですっ!」

秌場を家に連れていき、即席のラーメンを作ってあげたら思いの外元気になったみたいだ。

「ラーメン好きなの?」

「はい。だって、作っている人の心がこもっているじゃないですか。」

「それインスタントだけどね。」

「でも、河津さんに作ってもらったので。
いつもより数倍美味しく感じますよ。」

「確かに。河津さんはインスタント調理の才能があると思うよ。」

...インスタント調理の才能とは...?

というかなんで安澄までここに来て平然と
ラーメン食ってんだ。

「幸せです...。」

「そう...それなら良かったけど。
これで一応大丈夫そうかな?」

「はい。しばらくは持ちそうです。
ありがとうございました。」

なんて丁寧に礼を言われるけど。

「そういえば家も探すとか言ってたけど、
まだ住むところ決まってないの?」

「はい。安澄さんはもう決まってるそうなので、そこにしばらく居候です。」

「そうなんだ...。」

「怖いな。
秌場くんはたまに俺まで食べようとするから。」

おい...。

死神食べる悪魔がどこにいるんだよ...。

不穏すぎるから、大人しくラーメン食べてて欲しい...。

っていうか、ラーメン食べるなら普通の人間とやっぱり変わらないじゃん...。

「こうやって毎日ご飯作ってくれる人がいたら、きっとすごく幸せなんだろうな...。」

「秌場くん、料理苦手なの?」

「僕自身が手を加えてもあまり意味がないんですよね。そりゃあ、よっぽどお腹空いたら人助けとか、善い行いはしますけど。

自然が1番いいんですよね。」

「君って意外とナチュラリストなんだね。」

なんか変なナチュラリスト...。

というか、
料理の意味ちょっと履き違えてなかった?

「でも、倒れるのは良くないからね。
その前に自分でどうにかするんだよ?」

「はい。」
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