アクマの果実
ん...。
今日は、布団を巻いたようなものを抱いて寝てる...。
よかった、今回は大丈夫だったみたい。
2人はもう起きてるのかな。
「おはようございます。河津さん。」
「おはよう。
昨日は、大丈夫だった?」
「はい。
抱き枕の代わりになるものを渡したら、それを抱いて寝てました。」
「はあ...。
やっぱり迷惑はかけちゃったんだ...。
ごめん。」
「いえ。謝る必要ないですよ。
ただ...。」
「え、どうかした?」
「...。」
2人は顔を見合わせている。
え、私やっぱりなんかしちゃったの...?
「えっと...河津さん、ご両親が仕事で会える機会が少ないって仰ってましたよね。」
「うん...。」
「きっと、河津さんはあまり意識していないと思うんですけど、少し寂しそうというか...。」
「え、私が?」
「はい...。」
「泣いてたよな。」
「安澄さん、それは...。」
「あ、本人に言っちゃまずかった?
でも、秌場くんすごく心配して、
ずっと頭撫でてあげてたじゃない。」
「それはそうですけど...。
河津さんは頑張り屋さんなので...。」
「まあ、本人は言われてショックだろうけど、言わないで強がり続けたほうが大変だよ。
秌場くんだって我慢する主義だからこそダメだって分かるだろ。」
「...僕のことはいいんです。
酷すぎれば林檎を食べれば済む話ですから。」
「それは極刑よりも重い最終手段だから、もう断じて許さないよ。」
「でも、寂しいって気持ちはすごく辛いんです。
僕はひたすら食べればいいですけど、人間は食べてもそれは治らないらしいんです。」
「だったら、ご両親に早く戻ってきてもらって、家族で作る時間を増やすしかないんじゃないか。」
「安澄さんの言うことは理論的にはごもっともでしょうけど、そんなわけにもいきませんよ。
河津さんだってきっとご両親に心配をかけたくない一心で、寂しさを心の奥底に封じ込めているんだと思います。
きっと、僕が最近、真心やあたたかさの一方で、河津さんから感じていた不思議な感覚はこれが原因ですよ。」
...。
なんだか、心配してくれてるっていうのはわかるけど、こっちとしては信じられないくらい実感湧かない。
自分でなんとかしなきゃいけないっていうのは幼いながらも感じてたことだけど、
そんなに寂しいとか思ったことなかったし。
放心状態できくしかないっていうか...。
でも...。
小さい頃...。
私は両親が出張など行っている間、よく親戚の家に預けられていた。
親戚のおばさんたちはとても良い方だけど、なんとなく後ろめたくて、居処がない気がして、
親戚の同じくらいの子どもたちとも、
あまりうまく付き合えなかった。
学校とかでもすごく仲良い友達はいないし、
居心地が良い場所なんて、今まで...。
「河津さん...。
余計なお世話かもしれませんが、僕、少しでも河津さんのお役に立ちたいです。」
「え...と...。」
「だから、寂しくなったら、僕たちのところにいつでも来てください。
側にいて、お話きくことならできますから。」
「そんな...大丈夫だよ。」
「...とにかく、朝ご飯は2人で作ったから。
食べて。河津さん。」
「あ、ありがとう。」
今日は、布団を巻いたようなものを抱いて寝てる...。
よかった、今回は大丈夫だったみたい。
2人はもう起きてるのかな。
「おはようございます。河津さん。」
「おはよう。
昨日は、大丈夫だった?」
「はい。
抱き枕の代わりになるものを渡したら、それを抱いて寝てました。」
「はあ...。
やっぱり迷惑はかけちゃったんだ...。
ごめん。」
「いえ。謝る必要ないですよ。
ただ...。」
「え、どうかした?」
「...。」
2人は顔を見合わせている。
え、私やっぱりなんかしちゃったの...?
「えっと...河津さん、ご両親が仕事で会える機会が少ないって仰ってましたよね。」
「うん...。」
「きっと、河津さんはあまり意識していないと思うんですけど、少し寂しそうというか...。」
「え、私が?」
「はい...。」
「泣いてたよな。」
「安澄さん、それは...。」
「あ、本人に言っちゃまずかった?
でも、秌場くんすごく心配して、
ずっと頭撫でてあげてたじゃない。」
「それはそうですけど...。
河津さんは頑張り屋さんなので...。」
「まあ、本人は言われてショックだろうけど、言わないで強がり続けたほうが大変だよ。
秌場くんだって我慢する主義だからこそダメだって分かるだろ。」
「...僕のことはいいんです。
酷すぎれば林檎を食べれば済む話ですから。」
「それは極刑よりも重い最終手段だから、もう断じて許さないよ。」
「でも、寂しいって気持ちはすごく辛いんです。
僕はひたすら食べればいいですけど、人間は食べてもそれは治らないらしいんです。」
「だったら、ご両親に早く戻ってきてもらって、家族で作る時間を増やすしかないんじゃないか。」
「安澄さんの言うことは理論的にはごもっともでしょうけど、そんなわけにもいきませんよ。
河津さんだってきっとご両親に心配をかけたくない一心で、寂しさを心の奥底に封じ込めているんだと思います。
きっと、僕が最近、真心やあたたかさの一方で、河津さんから感じていた不思議な感覚はこれが原因ですよ。」
...。
なんだか、心配してくれてるっていうのはわかるけど、こっちとしては信じられないくらい実感湧かない。
自分でなんとかしなきゃいけないっていうのは幼いながらも感じてたことだけど、
そんなに寂しいとか思ったことなかったし。
放心状態できくしかないっていうか...。
でも...。
小さい頃...。
私は両親が出張など行っている間、よく親戚の家に預けられていた。
親戚のおばさんたちはとても良い方だけど、なんとなく後ろめたくて、居処がない気がして、
親戚の同じくらいの子どもたちとも、
あまりうまく付き合えなかった。
学校とかでもすごく仲良い友達はいないし、
居心地が良い場所なんて、今まで...。
「河津さん...。
余計なお世話かもしれませんが、僕、少しでも河津さんのお役に立ちたいです。」
「え...と...。」
「だから、寂しくなったら、僕たちのところにいつでも来てください。
側にいて、お話きくことならできますから。」
「そんな...大丈夫だよ。」
「...とにかく、朝ご飯は2人で作ったから。
食べて。河津さん。」
「あ、ありがとう。」